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*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)   *小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。   *かなりぶつ切りです。   *携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)   *携帯にも対応しています。   *コメントでの感想なども歓迎です。
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「うりゃあ!」
杖を渾身の力を込めて振り下ろしてポリンを叩き潰す。
ピンクの物体は壊れたおもちゃみたいに弾けてバラバラになった。
そして地面に溶けてきえた。

「色気ない声」
そんな声がした方を見ると、坂の上から笑った絵が見下ろしてる。
その嘘の笑顔の下では本当に笑ってるのかな。

「力、はいんねーんだもん。」
「今からでも、マジシャンやめればいいじゃないか。」
「アンタはマジが好きなんだろ!」
「…多分」
「顔そらしてもどーせマスクで見えねーよ。嘘なんか見抜けねーよ。」
今、顔そらしたせいで分かったけど。

快晴、茂る草、そんな風景に彼の紫のアサシンの服は似合わないけど、うさん臭いスマイルマスクのせいでなんかしっくりきてる。不思議だ。

ポリンが落としたりんごをひろって、彼の隣に座った。
…おっきい。いや、俺が小さいのか。

「…?」
彼の膝の上にりんごを乗せた。
「やる。」
「ありー。」
赤いりんごは彼の両手の中に収まった。

「……。」
風が少し強いけど気持ちいい。
「……。」
さっきのポリンの生まれ変わりみたいに同じ顔した奴が目の前を跳ねてた。

「りんご、食わねーのかよ。」
「お前、マスク外させたいんだろ。」
「……チッ。」
マスクの下で笑い声がした。

意地悪で外さないかと思ったら、仮面は剥がされていきなり俺の膝の上に放られてきた。
「……。」
初めて見たわけじゃないけど、彼は今度はちゃんと人間の顔をしてりんごにかじりついていた。

「前衛になりたかったんだろ?」
「…違う、マジシャンがよかった。」
「才能ないって。向かないINT目指して立ち止まるより向いてる方になればいーじゃない。」
「……。」

分かってる。
本当はモンクとかクルセイダーとか、前衛で新二次職がよかったんだ。
でも、知り合いが彼はマジ好きだって言うから。

一緒に戦う仲間って思われるより、特別に扱われたいって思ったんだ…。

「…なあ。」
「ん?」
「殴りマジは好き?」
「全然嫌い」
「顔反らすなよ。」
好きなのか。

「あのね、なんでもかんでも俺の好みにするなって。」
「顔にやけてるぞ。」
「それはスマイルマスクだから。」
「スマイルマスクはまだ俺が持ってるし。」

これは突破口ができた。
俺は殴りマジになる!

「強い装備探してくる!」
「無理だって、殴りマジは効率悪いし大変だし。…別に好きじゃないって言ってるじゃないか。」
りんご食べ終わった彼は口元を拭って、スマイルマスクでまた顔を覆った。
さっき渡されたマスクはまだ俺の手の中だ、何枚持ってるんだ…。

また、彼の顔が見えなくなった。


「アンタはなんで俺に教えてくれないんだよ。」
「好みなら教えてるじゃないか。好きじゃないって。」
「嘘じゃんか!他の知らないマジにはすぐにときめいてるくせに!なんで俺だけ駄目なんだよっ!!」

喚きちらす声は、爽やかな空気に虚しく消える。

「…君の人生は君のなんだしさ。」

俺の叫んだ声はあっさり消えるのに、彼の呟く声は妙に響いてしっかり聞こえた気がした。
見上げるスマイルマスクはどこか悲しそうに笑ってる気がした。


「あ、おやつの時間だ。じゃっ!」
「え?っはあ!?」
目の前でいきなりスマイルマスクが消えた。
というか、俺とポリン以外の生き物はもういない。



「俺の人生、俺のだから…着いていきたいんじゃんか。」
俺の手に残されたスマイルマスクは、なんだが笑ってるように見えない、ただの飾り。




……なんかカレー臭い…朝食はカレーかよ。
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