*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)
*小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。
*かなりぶつ切りです。
*携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)
*携帯にも対応しています。
*コメントでの感想なども歓迎です。
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「貴方は私の何処が好きだというんです?」
グローリィは笑っていた。
でもそれはいつもの笑顔じゃなかった。
「初めてお会いした時、とてもよくして頂いて…。お優しく笑って下さった時にまるで天使様に見えたんです。」
「そんな、大袈裟な…」
彼は笑い声を漏らして頬を染める。
違う。
嬉しそうでも楽しそうでもない。
少なくともこれは俺にいつも見せてくれる顔じゃない。
その意味はわからないが、まるでスマイルマスクをはりつけたようで…
俺の同業者が人を騙す時のそれに似てる。
「…貴方はとても綺麗な方ですね。」
彼が目の前の女性に囁いた。
【ジノは綺麗ですね】
俺には勿体ない言葉だ、今目の前のシスターに言うのが似合う。
それでも、俺にも言ってくれたのは、嬉しかった。
でも何故だろう。
今のグローリィの言葉が、笑顔と同じで俺の時より空虚に思えるのは。
俺が舞い上がっていて、彼の心理を読めなかっただけかもしれないが。
頬を染めたシスターに、愛のある言葉を囁くように続けた。
「まるでまっさらだ。純心なわけでもない、内に輝きをもつ原石のようでもない。」
けれど、言葉の内容も、まるで空虚だった。
「単直に言えば無知。私が渇望してるのはそんな綺麗な人じゃない」
「………。」
無知…正しく俺じゃないか。
聞いてはいけなかった。
ただ偶然、グローリィを訪ねたらこの現場見かけて…
覗き見た結果、彼の本当の気持ちを知った。
「………。」
今更だが、彼に心の内で謝り、その場を後にした。
私が欲しいのはね、地獄を見て、這い回って
それでも生きて尚気高く美しくあった人だった。
救いや神の愛を必要としながら、それでもそれを口にせず独り気高くいることを選んだ。
神を信じ、必要としながらも、決して求めず拒絶もしない…それはまるで自身が小さな神であるように思いませんか?
私はね、シスター
いつか彼をさらって、私だけの神にしたいんですよ。
例え、行き着く先が地獄でも
そこが二人だけの世界であるなら…
グローリィは笑っていた。
でもそれはいつもの笑顔じゃなかった。
「初めてお会いした時、とてもよくして頂いて…。お優しく笑って下さった時にまるで天使様に見えたんです。」
「そんな、大袈裟な…」
彼は笑い声を漏らして頬を染める。
違う。
嬉しそうでも楽しそうでもない。
少なくともこれは俺にいつも見せてくれる顔じゃない。
その意味はわからないが、まるでスマイルマスクをはりつけたようで…
俺の同業者が人を騙す時のそれに似てる。
「…貴方はとても綺麗な方ですね。」
彼が目の前の女性に囁いた。
【ジノは綺麗ですね】
俺には勿体ない言葉だ、今目の前のシスターに言うのが似合う。
それでも、俺にも言ってくれたのは、嬉しかった。
でも何故だろう。
今のグローリィの言葉が、笑顔と同じで俺の時より空虚に思えるのは。
俺が舞い上がっていて、彼の心理を読めなかっただけかもしれないが。
頬を染めたシスターに、愛のある言葉を囁くように続けた。
「まるでまっさらだ。純心なわけでもない、内に輝きをもつ原石のようでもない。」
けれど、言葉の内容も、まるで空虚だった。
「単直に言えば無知。私が渇望してるのはそんな綺麗な人じゃない」
「………。」
無知…正しく俺じゃないか。
聞いてはいけなかった。
ただ偶然、グローリィを訪ねたらこの現場見かけて…
覗き見た結果、彼の本当の気持ちを知った。
「………。」
今更だが、彼に心の内で謝り、その場を後にした。
私が欲しいのはね、地獄を見て、這い回って
それでも生きて尚気高く美しくあった人だった。
救いや神の愛を必要としながら、それでもそれを口にせず独り気高くいることを選んだ。
神を信じ、必要としながらも、決して求めず拒絶もしない…それはまるで自身が小さな神であるように思いませんか?
私はね、シスター
いつか彼をさらって、私だけの神にしたいんですよ。
例え、行き着く先が地獄でも
そこが二人だけの世界であるなら…
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それを拾ったのは、賭けだった。
私の中の偽善と狂気、どちらが勝るか…
私は赤子を拾った。
私が殺した女の腹から。
気持ち悪い程パンパンに膨れあがった腹に、弱々しくもたしかに灯る命があるのだと知れた。
そのまま放って置けばそれもただの肉の塊に帰すだろうが、俺はその腹を切り裂き中身を取り出した。
羊水と血が溢れる女の腹の中には生き物が二つ。
そこらで見るモンスターより余程化け物じみてみえた。
「コードネーム、名前はお前が考えろ、ジノールス。」「じゃあ…ルァジノール。」
「俺とお前の名をくっつけるな、気色悪い。」
「面倒だ、もう決めた。」
メルァーゼ、通称ルァは私の監視者。
と言っても案外人間らしく、俺を拘束しなければ放置・傍観もしない。
監視者というよりもペアに近い。
ルァから手渡された子供は泣き疲れたのか、私に怯えたようだったが泣いていたが声はあげなかった。
ルァが抱き抱えていたのは歩くのが遅いからで、もう歩くことは出来るらしい。
「もう一人、いただろう。」
「死んだ。」
「やはり子供は呆気なく死ぬ。」
「お前が温めも羊水を吐かせもせず首根っこ掴んで連れて来たからだ。この子供も危なかったそうだ。」
そんな事に興味はない。
これは実験なんだ。
「双子は替え玉やフェイクに使えるから便利だったのに。」
「コイツはどうせアサシンになる前に死ぬさ。」
既に、黙って見上げてくるチビに拳を振り上げたい気分。
だが俺の中の者がやめろと身体を拘束している。
「…そうはいかないかもしれないぞ。」
ルァが無感情に言う。
俺にもこのガキにも同情なんかしていないんだ。
「その子供、口がきけない。目は訓練で何とかなるだろうが、視力も弱いみたいだ。」
「ふん、オブジェにはなるか。」
「……ジノールス…」
鼻でわらった俺に何かを感じたらしく、嫌悪する目を向けてくる。
「“俺”は相変わらず嫌われ者かよ」
「嫌ってるわけじゃない。お前はすぐに何でも壊すから面倒臭い」
「ならお前の為にコイツをミンチにしてぶちまけてやろうか」
笑いながら白い頭した子犬みたいな子供の頭を掴んだ。
まだ言葉なんかろくに分かっちゃいないだろうが、頭を掴まれて怯えたようだ。
「…そのうちお前がミンチにされるぞ。」
「お前がするのかよ。」
「俺は汚れる殺し方は嫌いだ。」
何ともいえない会話を交わし、俺は子供を小脇に抱えて家の奥、ほとんど使わない寝室に放り込んで扉をしめた。
そのうち開けようと四苦八苦してる音がしてきたが、ノブを回せても開かないように椅子を扉の前に転がした。
「悪いな…しばらく出てくるなよ…」
椅子をもう一つ、扉へ押し付ける 。
今出てきたら…
「…私はお前を、殺してしまうから…。」
椅子を掴む手が震えて、納まらない。
「…相変わらず、損だなアンタは。」
ルァが、私の後ろに立つ。
震えている私を労るように頭に手を置いてくれる。
「…そう言うなら…私があの子を取り出すのを止めてくれればいいのに。」
「あれは組織の暗殺者として正しい行動だ、止める理由はない。」
笑いが込み上げ、涙がでそうになる。
「…意地が悪い…。」
「俺がジノールスという男をいじめられるのは、あんたが出てるときくらいだからな。」
そうだ、彼は私の敵にも味方にもならない。
ジノールスという男そのもののパートナーであるだけだ。
それは彼なりの優しさなのだろうけど…
ジノールスの良心である私には、辛いのに。
「“お前達”の実験なんだろう。」
ジノールスの中のアンバランスな悪意と善意、どちらが勝るか。
あの少年、ルァジノールを生かすことができたら、私は優しい人間になれるだろうか。
なりたいわけじゃない。
ただ自分が分からないから試しているだけだが。
「どうか、生きろ…ルァジノール…」
今の私はただ、そう願う。
――――――
ジノールス:ルァジノールの育ての親。やや人格障害。
ルァジノール:育ての親。ジノールスが優しい時は部屋に閉じ込められていたので、彼にはDVの記憶しかない。
私の中の偽善と狂気、どちらが勝るか…
私は赤子を拾った。
私が殺した女の腹から。
気持ち悪い程パンパンに膨れあがった腹に、弱々しくもたしかに灯る命があるのだと知れた。
そのまま放って置けばそれもただの肉の塊に帰すだろうが、俺はその腹を切り裂き中身を取り出した。
羊水と血が溢れる女の腹の中には生き物が二つ。
そこらで見るモンスターより余程化け物じみてみえた。
「コードネーム、名前はお前が考えろ、ジノールス。」「じゃあ…ルァジノール。」
「俺とお前の名をくっつけるな、気色悪い。」
「面倒だ、もう決めた。」
メルァーゼ、通称ルァは私の監視者。
と言っても案外人間らしく、俺を拘束しなければ放置・傍観もしない。
監視者というよりもペアに近い。
ルァから手渡された子供は泣き疲れたのか、私に怯えたようだったが泣いていたが声はあげなかった。
ルァが抱き抱えていたのは歩くのが遅いからで、もう歩くことは出来るらしい。
「もう一人、いただろう。」
「死んだ。」
「やはり子供は呆気なく死ぬ。」
「お前が温めも羊水を吐かせもせず首根っこ掴んで連れて来たからだ。この子供も危なかったそうだ。」
そんな事に興味はない。
これは実験なんだ。
「双子は替え玉やフェイクに使えるから便利だったのに。」
「コイツはどうせアサシンになる前に死ぬさ。」
既に、黙って見上げてくるチビに拳を振り上げたい気分。
だが俺の中の者がやめろと身体を拘束している。
「…そうはいかないかもしれないぞ。」
ルァが無感情に言う。
俺にもこのガキにも同情なんかしていないんだ。
「その子供、口がきけない。目は訓練で何とかなるだろうが、視力も弱いみたいだ。」
「ふん、オブジェにはなるか。」
「……ジノールス…」
鼻でわらった俺に何かを感じたらしく、嫌悪する目を向けてくる。
「“俺”は相変わらず嫌われ者かよ」
「嫌ってるわけじゃない。お前はすぐに何でも壊すから面倒臭い」
「ならお前の為にコイツをミンチにしてぶちまけてやろうか」
笑いながら白い頭した子犬みたいな子供の頭を掴んだ。
まだ言葉なんかろくに分かっちゃいないだろうが、頭を掴まれて怯えたようだ。
「…そのうちお前がミンチにされるぞ。」
「お前がするのかよ。」
「俺は汚れる殺し方は嫌いだ。」
何ともいえない会話を交わし、俺は子供を小脇に抱えて家の奥、ほとんど使わない寝室に放り込んで扉をしめた。
そのうち開けようと四苦八苦してる音がしてきたが、ノブを回せても開かないように椅子を扉の前に転がした。
「悪いな…しばらく出てくるなよ…」
椅子をもう一つ、扉へ押し付ける 。
今出てきたら…
「…私はお前を、殺してしまうから…。」
椅子を掴む手が震えて、納まらない。
「…相変わらず、損だなアンタは。」
ルァが、私の後ろに立つ。
震えている私を労るように頭に手を置いてくれる。
「…そう言うなら…私があの子を取り出すのを止めてくれればいいのに。」
「あれは組織の暗殺者として正しい行動だ、止める理由はない。」
笑いが込み上げ、涙がでそうになる。
「…意地が悪い…。」
「俺がジノールスという男をいじめられるのは、あんたが出てるときくらいだからな。」
そうだ、彼は私の敵にも味方にもならない。
ジノールスという男そのもののパートナーであるだけだ。
それは彼なりの優しさなのだろうけど…
ジノールスの良心である私には、辛いのに。
「“お前達”の実験なんだろう。」
ジノールスの中のアンバランスな悪意と善意、どちらが勝るか。
あの少年、ルァジノールを生かすことができたら、私は優しい人間になれるだろうか。
なりたいわけじゃない。
ただ自分が分からないから試しているだけだが。
「どうか、生きろ…ルァジノール…」
今の私はただ、そう願う。
――――――
ジノールス:ルァジノールの育ての親。やや人格障害。
ルァジノール:育ての親。ジノールスが優しい時は部屋に閉じ込められていたので、彼にはDVの記憶しかない。
気まぐれだった。
彼を傷付けるつもりはなかった。
口付けはよくしていたが、それは挨拶程度の話。
常日頃から、もっと情熱的な口付けを彼にしたいと思っていた。
無垢な彼はどんな反応をするだろう。
きっと思い悩んでしまう。
でも私を嫌いにはならないだろう。
何故なら私はいつでも狂おしい程に彼を愛しく思っているから。
そんな甘い考えから。
「―――…っ」
訳がわからぬうちに彼は口内へ舌の侵入を許してしまった。
と舌を絡める直前に…
私は気付いてしまった。
息を呑んだのは私か。
それとも彼か。
「っ!」
大きめの綺麗な紫の瞳に浮かんでいたのは熱でも怒りでもない。
酷く悲しそうな。
私より表情に出ていないが、心の中は私よりずっと傷付いた。
「ジノ…っ…」
彼は私を突き飛ばして部屋から出ていった。
彼を止める声は酷く弱々しかった。
―――――――
必死に隠していたわけじゃない。
ただ、知られたら憐れまれるだろうとは思った。
グローリィは優しいから。
でも、どうせ早々見つかることじゃないから問題ないだろうと楽観視してた。
いざ知れたら、思ったよりも――悲しかった。
俺は半分近く歯ない。
一度仕事に失敗しかけて、拷問にあった時に折られた。
同業者には戦闘で折れたという奴は多いが、拷問で折られた奴はほとんどそのまま息の根も止められている。
俺は運がよかった。
彼に汚いものに触れさせてしまった。
嫌われただろうか。
……悲しかったが、気にしていないふりをすればよかっただろうか。
そうすれば彼も気にしないでいてくれただろうか。
『ジノ』
「…っ」
突然の当人からのWISに戸惑う。
『今まで気付かなくてごめんね。』
何で謝るんだ…俺が勝手に隠してただけで…
『グローリィのせいじゃ…』
『私の料理って固いのが多かったから食べにくかったでしょう。』
返事につまった。
『だからいつも苦しそうに食べてたんですね。今度からもっと柔らかくするように心掛けます。』
いや、それは本当に苦しかったから。
料理の固さがどうこうではなくて、料理そのものが苦痛だった。
『あ、ちなみにその点については謝りますが、キスしたことについては謝りませんよ。』
遅れて、唇から口内にまで残った彼の感覚を思い出す。
「…っ!!!!」
一気に顔に血が上って、なにもかもを忘れ、その場に座り込んだ。
忘れたせいで、料理のことを弁解し忘れた。
その日の夕食はいつもより…………地獄だった。
彼を傷付けるつもりはなかった。
口付けはよくしていたが、それは挨拶程度の話。
常日頃から、もっと情熱的な口付けを彼にしたいと思っていた。
無垢な彼はどんな反応をするだろう。
きっと思い悩んでしまう。
でも私を嫌いにはならないだろう。
何故なら私はいつでも狂おしい程に彼を愛しく思っているから。
そんな甘い考えから。
「―――…っ」
訳がわからぬうちに彼は口内へ舌の侵入を許してしまった。
と舌を絡める直前に…
私は気付いてしまった。
息を呑んだのは私か。
それとも彼か。
「っ!」
大きめの綺麗な紫の瞳に浮かんでいたのは熱でも怒りでもない。
酷く悲しそうな。
私より表情に出ていないが、心の中は私よりずっと傷付いた。
「ジノ…っ…」
彼は私を突き飛ばして部屋から出ていった。
彼を止める声は酷く弱々しかった。
―――――――
必死に隠していたわけじゃない。
ただ、知られたら憐れまれるだろうとは思った。
グローリィは優しいから。
でも、どうせ早々見つかることじゃないから問題ないだろうと楽観視してた。
いざ知れたら、思ったよりも――悲しかった。
俺は半分近く歯ない。
一度仕事に失敗しかけて、拷問にあった時に折られた。
同業者には戦闘で折れたという奴は多いが、拷問で折られた奴はほとんどそのまま息の根も止められている。
俺は運がよかった。
彼に汚いものに触れさせてしまった。
嫌われただろうか。
……悲しかったが、気にしていないふりをすればよかっただろうか。
そうすれば彼も気にしないでいてくれただろうか。
『ジノ』
「…っ」
突然の当人からのWISに戸惑う。
『今まで気付かなくてごめんね。』
何で謝るんだ…俺が勝手に隠してただけで…
『グローリィのせいじゃ…』
『私の料理って固いのが多かったから食べにくかったでしょう。』
返事につまった。
『だからいつも苦しそうに食べてたんですね。今度からもっと柔らかくするように心掛けます。』
いや、それは本当に苦しかったから。
料理の固さがどうこうではなくて、料理そのものが苦痛だった。
『あ、ちなみにその点については謝りますが、キスしたことについては謝りませんよ。』
遅れて、唇から口内にまで残った彼の感覚を思い出す。
「…っ!!!!」
一気に顔に血が上って、なにもかもを忘れ、その場に座り込んだ。
忘れたせいで、料理のことを弁解し忘れた。
その日の夕食はいつもより…………地獄だった。
「……。」
アサシンは闇に生きるものだ。
彼が言っていた。
おれもいつかアサシンになるから家の中は暗い。
でも、外は明るいと知ってる。
家の出口は板がしてあっておれにはあけられない。
ハコみたいだけど、少しあながあって外の光が見える。
そこの近くで、目をつむる。
声がきこえる。
男の人の声。
はなしてるわけじゃない。一人みたいだ。
でもずっと声はしてる。
ふしぎな声。
きれいだ。
誰か、近くで歌ってる。
いい声だ、初めて聞いた、いい声。
「……。」
まねして声を出すふりをした。
声をどうやって出すのか、俺は知らない。
あんなきれいな声、だせないにきまってる。
胸が、いたかった。
でもいたいのを、あの声がなおしてくれる。
ずっときいていたいと思った。
あの時聞いた歌が、今辺り一面に響いていた。
祝福のように。
俺にそんな資格がないのはわかってる。
でもその歌声の壮大さと美しさに勘違いさせられる。
それは教会の聖歌隊の賛美歌。
温かい。
温かすぎて胸が苦しい。
「祝福を受ける資格のない者なんついません。」
マントでアサシン装束を隠して参拝の席に座っていた、俺の隣には本来ならあそこで歌ってる筈のプリースト、グローリィがいる。
彼が賛美歌の合間に説く。
「しかしこの歌にそんな風に感銘する者は」
彼の細い指先が、涙が滲みそうになっていた俺の目尻に触れた。
「汚れなく優しい、でも渇いた魂を持ってるのでしょうね。」
彼の声は賛美歌の一部のように心に響く。
「そんな人にこそ、祝福は実に有意義でしょうね。」
汚れなく優しいなんて、嘘だ。
でも渇いてるのは、事実かもしれない。
光の世界を望んで、近付いている筈なのに、まだ俺は闇から逃げきれていない。
でも今は
あの時望んだ歌声にこんなにも包まれているから、それだけで満たされた。
「そんなにグロリアが好きなら、私も練習しておきます。」
グローリィの歌声は殺人的だ。
『…遠慮しておく』
アサシンは闇に生きるものだ。
彼が言っていた。
おれもいつかアサシンになるから家の中は暗い。
でも、外は明るいと知ってる。
家の出口は板がしてあっておれにはあけられない。
ハコみたいだけど、少しあながあって外の光が見える。
そこの近くで、目をつむる。
声がきこえる。
男の人の声。
はなしてるわけじゃない。一人みたいだ。
でもずっと声はしてる。
ふしぎな声。
きれいだ。
誰か、近くで歌ってる。
いい声だ、初めて聞いた、いい声。
「……。」
まねして声を出すふりをした。
声をどうやって出すのか、俺は知らない。
あんなきれいな声、だせないにきまってる。
胸が、いたかった。
でもいたいのを、あの声がなおしてくれる。
ずっときいていたいと思った。
あの時聞いた歌が、今辺り一面に響いていた。
祝福のように。
俺にそんな資格がないのはわかってる。
でもその歌声の壮大さと美しさに勘違いさせられる。
それは教会の聖歌隊の賛美歌。
温かい。
温かすぎて胸が苦しい。
「祝福を受ける資格のない者なんついません。」
マントでアサシン装束を隠して参拝の席に座っていた、俺の隣には本来ならあそこで歌ってる筈のプリースト、グローリィがいる。
彼が賛美歌の合間に説く。
「しかしこの歌にそんな風に感銘する者は」
彼の細い指先が、涙が滲みそうになっていた俺の目尻に触れた。
「汚れなく優しい、でも渇いた魂を持ってるのでしょうね。」
彼の声は賛美歌の一部のように心に響く。
「そんな人にこそ、祝福は実に有意義でしょうね。」
汚れなく優しいなんて、嘘だ。
でも渇いてるのは、事実かもしれない。
光の世界を望んで、近付いている筈なのに、まだ俺は闇から逃げきれていない。
でも今は
あの時望んだ歌声にこんなにも包まれているから、それだけで満たされた。
「そんなにグロリアが好きなら、私も練習しておきます。」
グローリィの歌声は殺人的だ。
『…遠慮しておく』
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