*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)
*小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。
*かなりぶつ切りです。
*携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)
*携帯にも対応しています。
*コメントでの感想なども歓迎です。
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「……。」
アサシンは闇に生きるものだ。
彼が言っていた。
おれもいつかアサシンになるから家の中は暗い。
でも、外は明るいと知ってる。
家の出口は板がしてあっておれにはあけられない。
ハコみたいだけど、少しあながあって外の光が見える。
そこの近くで、目をつむる。
声がきこえる。
男の人の声。
はなしてるわけじゃない。一人みたいだ。
でもずっと声はしてる。
ふしぎな声。
きれいだ。
誰か、近くで歌ってる。
いい声だ、初めて聞いた、いい声。
「……。」
まねして声を出すふりをした。
声をどうやって出すのか、俺は知らない。
あんなきれいな声、だせないにきまってる。
胸が、いたかった。
でもいたいのを、あの声がなおしてくれる。
ずっときいていたいと思った。
あの時聞いた歌が、今辺り一面に響いていた。
祝福のように。
俺にそんな資格がないのはわかってる。
でもその歌声の壮大さと美しさに勘違いさせられる。
それは教会の聖歌隊の賛美歌。
温かい。
温かすぎて胸が苦しい。
「祝福を受ける資格のない者なんついません。」
マントでアサシン装束を隠して参拝の席に座っていた、俺の隣には本来ならあそこで歌ってる筈のプリースト、グローリィがいる。
彼が賛美歌の合間に説く。
「しかしこの歌にそんな風に感銘する者は」
彼の細い指先が、涙が滲みそうになっていた俺の目尻に触れた。
「汚れなく優しい、でも渇いた魂を持ってるのでしょうね。」
彼の声は賛美歌の一部のように心に響く。
「そんな人にこそ、祝福は実に有意義でしょうね。」
汚れなく優しいなんて、嘘だ。
でも渇いてるのは、事実かもしれない。
光の世界を望んで、近付いている筈なのに、まだ俺は闇から逃げきれていない。
でも今は
あの時望んだ歌声にこんなにも包まれているから、それだけで満たされた。
「そんなにグロリアが好きなら、私も練習しておきます。」
グローリィの歌声は殺人的だ。
『…遠慮しておく』
アサシンは闇に生きるものだ。
彼が言っていた。
おれもいつかアサシンになるから家の中は暗い。
でも、外は明るいと知ってる。
家の出口は板がしてあっておれにはあけられない。
ハコみたいだけど、少しあながあって外の光が見える。
そこの近くで、目をつむる。
声がきこえる。
男の人の声。
はなしてるわけじゃない。一人みたいだ。
でもずっと声はしてる。
ふしぎな声。
きれいだ。
誰か、近くで歌ってる。
いい声だ、初めて聞いた、いい声。
「……。」
まねして声を出すふりをした。
声をどうやって出すのか、俺は知らない。
あんなきれいな声、だせないにきまってる。
胸が、いたかった。
でもいたいのを、あの声がなおしてくれる。
ずっときいていたいと思った。
あの時聞いた歌が、今辺り一面に響いていた。
祝福のように。
俺にそんな資格がないのはわかってる。
でもその歌声の壮大さと美しさに勘違いさせられる。
それは教会の聖歌隊の賛美歌。
温かい。
温かすぎて胸が苦しい。
「祝福を受ける資格のない者なんついません。」
マントでアサシン装束を隠して参拝の席に座っていた、俺の隣には本来ならあそこで歌ってる筈のプリースト、グローリィがいる。
彼が賛美歌の合間に説く。
「しかしこの歌にそんな風に感銘する者は」
彼の細い指先が、涙が滲みそうになっていた俺の目尻に触れた。
「汚れなく優しい、でも渇いた魂を持ってるのでしょうね。」
彼の声は賛美歌の一部のように心に響く。
「そんな人にこそ、祝福は実に有意義でしょうね。」
汚れなく優しいなんて、嘘だ。
でも渇いてるのは、事実かもしれない。
光の世界を望んで、近付いている筈なのに、まだ俺は闇から逃げきれていない。
でも今は
あの時望んだ歌声にこんなにも包まれているから、それだけで満たされた。
「そんなにグロリアが好きなら、私も練習しておきます。」
グローリィの歌声は殺人的だ。
『…遠慮しておく』
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「わわっ!」
後ろから肩にぶつかられて、僕の腕の中で微妙なバランスを保っていた書類の山がふっとんだ。
「あ、ごめーん!」
ぶつかってきたアコライトの女の子はかわいらしく謝って走り去っていく。
ざけんなよ片付けんの手伝えよ。女だからって可愛くしてれば許されると思うなよこちとらあんたみたいのは好みじゃねーんだよ性転換してこいや。
元は強いプリーストだった転生アコライトだからって今は立場同じだろうが何ピンクになってんだ風俗店のエセナースかってんだ聖職者名乗るんじゃないわ、どつきたおして街一周引きずったろか
「セイヤ、大丈夫か。」
「はいぃっ!!」
あらやだ、つい仕事が積もってる苛立ちから別世界にいっちゃった。
低い声がかけられて、肩を叩かれて慌てと立ち上がった。
振り返ったら仏頂面のクルセイダーがいた。
「あ、レイヴァ先輩。おはようございます。」
「おはよう。」
と、言いながら彼は床に膝をついて書類を拾いにかかっている。
「あ!大丈夫です拾っておきますから!」
「…ナツメ殿への書類か。」
「え、はい…。」
「俺も所用がある。途中まで半分持とう。」
「いいですいいです!先輩の手を煩わすわけにはっ」
言ってるのにレイヴァ先輩は書類を拾い続けてる。
僕も慌てて拾いにかかった。
うわ、順番めちゃくちゃだ…
後で直さなきゃ…
「それ」
レイヴァ先輩が、言いながら僕の拾った書類を指差した。
「はい?」
「孤児施設録の40ページ代だな?」
「え…あ、はい。」
頷いたら、先輩は僕の手から書類をとって手の中の書類に重ねた。
その手で僕の後ろを指差した。
「そこらの祭祀予定書をまとめろ。」
「あっ、はい!」
レイヴァさんに指示されるままに書類の片付けを始めた。
「…………。」
「…………。」
数分後には、いつの間にか僕たちはきっちりまとめ直された書類を抱えて廊下を歩いてた。
なんてゆーか…指示が素早くて的確で、びっくりした。
あと、先輩の洞察力に驚いた。
手元の書類に何の何ページが足りなくて、どの辺に何の書類が落ちてるのか予測して、僕の作業が終わる頃に次の指示だして…そんないろいろやりながらも先輩の手は物凄い早くて…
ただの書類拾いだけでこんな頭のよさを見せつけられるとは思わなかった。
これぞ先輩だよ。
レイヴァさんって、教会での先輩であると同時に冒険者ギルドの先輩でもあるけど、いつも目だってなかったしな。
「あの、ありがとうございました。」
「三回目だ。」
「あ。」
いや、だって沈黙が気まずくて…ついっ!(; ̄Д ̄)
「そ、それだけ有り難かったってことです!」
「謝礼謝罪の言葉は数を重ねる程に薄くなるという。」
(゜Д゜)
「…はい。」
とっつきにくっ!
うちのギルドの先輩にヒショウさんっていう暗いアサシンさんがいて、その人とよく一緒にいるから「あ、あの二人ってなんか似てるかな」って思ったけど…
似てない。
ヒショウさんは投げたキャッチボールのボールを遠慮がちに転がしてくるタイプだけど
レイヴァさんは軽やかに全然違うとこに投げてく感じがする!!
要はあんま話したくないタイプ。
「わわっ」
いろいろ考えていたら、レイヴァさんが持ってた書類をまた僕の手の中に戻してきた。
ズシッと重くて、危うく落としかけた。
あ、もうナツメ司祭のお部屋の前だった。
またありがとうございました、と言いかけて、さっき言われたことが頭の中でチラついた。
うう…なんて言えっちゅーねん。
悩んでるうちに、レイヴァ先輩は来た道を戻って…
あれ?
「レイヴァ先輩、ナツメ司祭に御用だったんじゃ…」
「俺の用は東棟だ。」
東棟って、もう随分前に通路過ぎたじゃないか…!
わざわざここまで手伝って…?
……やさしい。
「セイヤ」
「は、はい!」
先輩はまた戻ってきて、僕の目の前に断崖絶壁のように立ちました。
だってこの人背が高すぎ!
「むあっ」
頭を叩くみたいに手をのっけられた。
「お前の働きは、上には好評だ。」
「……ふえっ」
なんか…先輩の威圧で口から出るのは気の抜けた返事にならない声ばっかだ。
「お前が忙しいのは、皆、お前に一目置いているからと思え。」
そう言われた瞬間、顔が熱くなった。
アコライトに押し付けられる雑用や仕事を必死にこなしてたのは、回りの同期がぴいぴい言って動かないのが多くてその怒りをぶつけるように半分やけくそで…
押し付けてくるいい加減な司祭達を何度殴り飛ばしてやりたいと思ったかわからないけれど、悲しい職業病でいっつもニコニコするしかできなくて…
誰もそんな苦労分かってくれてないと思ってた。
「……っ、あ」
僕は今度こそ本当に『ありがとう』と言おうとした。
「だからどつきたおして街一周引きずるのはよせ。せっかくの努力が水の泡だ。」
(゜Д゜)は?
Σ(;゜Д゜;;)あのアコライトにぶつかられた時の独り言、聞かれてたー!!!!一言余計!この人一言余計だよ!
「では」
僕は今度こそ去っていくレイヴァ先輩の背中を眺めながら、慌てて声をかけた。
「先輩!明日の夕食、僕が当番だから、先輩の好物作りますね!」
ありがとう、の代わりに、感謝を行動でしめすことにした。
先輩は顔だけ振り返った。
「毒は入れるなよ」
僕って、なんか警戒されてる…?
どんな人間だと思われてるんだろう。
とりあえず…
「(TДT;)いれるかああああああ!!!!!」
後ろから肩にぶつかられて、僕の腕の中で微妙なバランスを保っていた書類の山がふっとんだ。
「あ、ごめーん!」
ぶつかってきたアコライトの女の子はかわいらしく謝って走り去っていく。
ざけんなよ片付けんの手伝えよ。女だからって可愛くしてれば許されると思うなよこちとらあんたみたいのは好みじゃねーんだよ性転換してこいや。
元は強いプリーストだった転生アコライトだからって今は立場同じだろうが何ピンクになってんだ風俗店のエセナースかってんだ聖職者名乗るんじゃないわ、どつきたおして街一周引きずったろか
「セイヤ、大丈夫か。」
「はいぃっ!!」
あらやだ、つい仕事が積もってる苛立ちから別世界にいっちゃった。
低い声がかけられて、肩を叩かれて慌てと立ち上がった。
振り返ったら仏頂面のクルセイダーがいた。
「あ、レイヴァ先輩。おはようございます。」
「おはよう。」
と、言いながら彼は床に膝をついて書類を拾いにかかっている。
「あ!大丈夫です拾っておきますから!」
「…ナツメ殿への書類か。」
「え、はい…。」
「俺も所用がある。途中まで半分持とう。」
「いいですいいです!先輩の手を煩わすわけにはっ」
言ってるのにレイヴァ先輩は書類を拾い続けてる。
僕も慌てて拾いにかかった。
うわ、順番めちゃくちゃだ…
後で直さなきゃ…
「それ」
レイヴァ先輩が、言いながら僕の拾った書類を指差した。
「はい?」
「孤児施設録の40ページ代だな?」
「え…あ、はい。」
頷いたら、先輩は僕の手から書類をとって手の中の書類に重ねた。
その手で僕の後ろを指差した。
「そこらの祭祀予定書をまとめろ。」
「あっ、はい!」
レイヴァさんに指示されるままに書類の片付けを始めた。
「…………。」
「…………。」
数分後には、いつの間にか僕たちはきっちりまとめ直された書類を抱えて廊下を歩いてた。
なんてゆーか…指示が素早くて的確で、びっくりした。
あと、先輩の洞察力に驚いた。
手元の書類に何の何ページが足りなくて、どの辺に何の書類が落ちてるのか予測して、僕の作業が終わる頃に次の指示だして…そんないろいろやりながらも先輩の手は物凄い早くて…
ただの書類拾いだけでこんな頭のよさを見せつけられるとは思わなかった。
これぞ先輩だよ。
レイヴァさんって、教会での先輩であると同時に冒険者ギルドの先輩でもあるけど、いつも目だってなかったしな。
「あの、ありがとうございました。」
「三回目だ。」
「あ。」
いや、だって沈黙が気まずくて…ついっ!(; ̄Д ̄)
「そ、それだけ有り難かったってことです!」
「謝礼謝罪の言葉は数を重ねる程に薄くなるという。」
(゜Д゜)
「…はい。」
とっつきにくっ!
うちのギルドの先輩にヒショウさんっていう暗いアサシンさんがいて、その人とよく一緒にいるから「あ、あの二人ってなんか似てるかな」って思ったけど…
似てない。
ヒショウさんは投げたキャッチボールのボールを遠慮がちに転がしてくるタイプだけど
レイヴァさんは軽やかに全然違うとこに投げてく感じがする!!
要はあんま話したくないタイプ。
「わわっ」
いろいろ考えていたら、レイヴァさんが持ってた書類をまた僕の手の中に戻してきた。
ズシッと重くて、危うく落としかけた。
あ、もうナツメ司祭のお部屋の前だった。
またありがとうございました、と言いかけて、さっき言われたことが頭の中でチラついた。
うう…なんて言えっちゅーねん。
悩んでるうちに、レイヴァ先輩は来た道を戻って…
あれ?
「レイヴァ先輩、ナツメ司祭に御用だったんじゃ…」
「俺の用は東棟だ。」
東棟って、もう随分前に通路過ぎたじゃないか…!
わざわざここまで手伝って…?
……やさしい。
「セイヤ」
「は、はい!」
先輩はまた戻ってきて、僕の目の前に断崖絶壁のように立ちました。
だってこの人背が高すぎ!
「むあっ」
頭を叩くみたいに手をのっけられた。
「お前の働きは、上には好評だ。」
「……ふえっ」
なんか…先輩の威圧で口から出るのは気の抜けた返事にならない声ばっかだ。
「お前が忙しいのは、皆、お前に一目置いているからと思え。」
そう言われた瞬間、顔が熱くなった。
アコライトに押し付けられる雑用や仕事を必死にこなしてたのは、回りの同期がぴいぴい言って動かないのが多くてその怒りをぶつけるように半分やけくそで…
押し付けてくるいい加減な司祭達を何度殴り飛ばしてやりたいと思ったかわからないけれど、悲しい職業病でいっつもニコニコするしかできなくて…
誰もそんな苦労分かってくれてないと思ってた。
「……っ、あ」
僕は今度こそ本当に『ありがとう』と言おうとした。
「だからどつきたおして街一周引きずるのはよせ。せっかくの努力が水の泡だ。」
(゜Д゜)は?
Σ(;゜Д゜;;)あのアコライトにぶつかられた時の独り言、聞かれてたー!!!!一言余計!この人一言余計だよ!
「では」
僕は今度こそ去っていくレイヴァ先輩の背中を眺めながら、慌てて声をかけた。
「先輩!明日の夕食、僕が当番だから、先輩の好物作りますね!」
ありがとう、の代わりに、感謝を行動でしめすことにした。
先輩は顔だけ振り返った。
「毒は入れるなよ」
僕って、なんか警戒されてる…?
どんな人間だと思われてるんだろう。
とりあえず…
「(TДT;)いれるかああああああ!!!!!」
ブレス!!
速度増加!!
キリエエレイソン!!
支援完了で準備よーし。
心の準備よーし。
「ヒショウ~一緒にお風呂入ろう~w」
さあ来い!必殺のエチャントポイズン付きのソニックブロウ!!
「………わかった。」
………へ?
というわけで、今僕は宿のせまーいバスルームの浴槽に恋人と浸かってるわけです。
狭い。
ヒショウ、体格がいいわけじゃないけど身長があるから狭い。
僕は最上級に幸せだけど。
向かい合って足を交差させてお湯に浸かる。
…かさが増すから節約にはいいかも。
二人の間にぷかぷか浮いてるアヒルちゃんをヒショウの方に弾いたら、弾き返されてアヒルちゃんが僕のとこに泳いで帰ってくる。
それをまた向こうに追いやって、でもまた返されて…
って、大の大人の男が狭い風呂に入ってアヒルで遊んでるとか、すごい異様な光景。
ヒショウもそう思ってるらしくて、ちょっと呆れたように笑ってる。
濡れた黒い髪ぴったり肌にくっついて、雫を垂らしてて綺麗だなあ、水も滴るイイオトコってやつかな。
「あ。脇腹のとこ傷。」
「まだシーフだった時についたやつだろ。」
「結構大きいね。」
ヒショウの脇腹の白い古傷を手の平で撫でた。
さりげないスキンシップとセクハラ。
でも本人は全然きにしてないみたいだ。
「…お前よりは傷はない。」
「僕は真っ先に突っ込む猪突猛進型だもん。」
「自慢になってないな。」
前髪を掻き上げながら笑う何気ない動作に心臓が高鳴った。
こんな至近距離で、しかも濡れて全裸。入浴剤がなかったらやばかったかも、これは。
視線を反らせて気を紛らわせるのに話題をふった。
「ヒショウ、なんで今日は一緒に風呂に入ってくれたんだ?」
彼は標準をなくして、視線を上の方に向けた。
何か悩むみたいに。
「……俺達、さ……恋人関係…なんだよな…一応。」
「違うって言われたら僕泣きながらウンバラバンジージャンプを湖じゃない方に飛ぶよ。」
むしろ今『一応』とか付けられた時点でそこの窓から飛びたい。
「いや、関係を否定するんじゃなくて、実感がなくて…な。」
「そりゃあ、あんま公言しないし、ヒショウはべたべたするの嫌いだし。」
やっぱ男同士ってのはねえ…僕は恋は盲目って感じで気にしないし、ヒショウは心が広いというか偏見がないけど
やっぱ周りからはイメージ的視覚的にもよくは映らないってわかってるもんね。
「…嫌いなわけじゃないが、したいと思わない。いちゃついてる恋人の精神がよくわからない…。」
なーるほど。
「でも、僕がそうやっていちゃつきたがってると思って、恥ずかしいの我慢して一緒に入ってくれた?」
抱きたいってのはまあ動物の性だから仕方ないけど、一緒にお風呂なんてしなくても済むことだから、ってヒショウは全く取り合ってくれなかったから。
今日は何かいろいろ思うことがあって付き合ってくれたに違いなかった。
「……恥ずかしいというか、馬鹿らしいと思っただけだ。」
「そっか。」
その頬っぺたが赤いのはお湯のせいなのかなあ…
「でもさ、無理して周りのカップルの真似なんかしてくれなくていいよ。
恋人だ!って僕が言い張るのはヒショウとベタベタしてたいんじゃなくて、ヒショウが誰か他の人と恋人になるのが嫌だったから。」
親友って枠組みだったけど、僕らは今まで誰よりも近くにいたじゃないか。
「あ、ヒショウってなんかツンデレっぽいな。」
「…は?」
いつも人目があるときは恋人のこの字も出させてくれないのに、でもこうやってお風呂一緒に入ったり恋人関係について真面目に考えてくれたり。
そんな優しいヒショウが、僕は好きだな。
「こうやって時々風呂とか一緒に入れたら嬉しいな、ってだけ。」
「…よくわからんが、分かった。」
そう答えた彼の顔は、その瞬間に目に見えて赤くなった。
「っ!!」
「ぐぶえっっ!!!」
つい、興奮して彼に迫ってお湯の中で体に触ったら
神速の平手が飛んできた。
油断、至近距離、ダブルアタック、いろんな要素が入って強烈。
「調子に乗るな、赤い血の風呂にするぞ。」
「ご、ごめんなさい……」
でも顔はにやけたまま直らなくて、仕方なくヒショウに見えないように平手されて横を向かされ固まったままで謝った。
まあ、ヒショウはツンデレじゃなくてツン8に対してデレ2くらいかな…ってのは分かった。
のでこれからあんまデレを求めない方向で行こう。ビンタ痛いし。
速度増加!!
キリエエレイソン!!
支援完了で準備よーし。
心の準備よーし。
「ヒショウ~一緒にお風呂入ろう~w」
さあ来い!必殺のエチャントポイズン付きのソニックブロウ!!
「………わかった。」
………へ?
というわけで、今僕は宿のせまーいバスルームの浴槽に恋人と浸かってるわけです。
狭い。
ヒショウ、体格がいいわけじゃないけど身長があるから狭い。
僕は最上級に幸せだけど。
向かい合って足を交差させてお湯に浸かる。
…かさが増すから節約にはいいかも。
二人の間にぷかぷか浮いてるアヒルちゃんをヒショウの方に弾いたら、弾き返されてアヒルちゃんが僕のとこに泳いで帰ってくる。
それをまた向こうに追いやって、でもまた返されて…
って、大の大人の男が狭い風呂に入ってアヒルで遊んでるとか、すごい異様な光景。
ヒショウもそう思ってるらしくて、ちょっと呆れたように笑ってる。
濡れた黒い髪ぴったり肌にくっついて、雫を垂らしてて綺麗だなあ、水も滴るイイオトコってやつかな。
「あ。脇腹のとこ傷。」
「まだシーフだった時についたやつだろ。」
「結構大きいね。」
ヒショウの脇腹の白い古傷を手の平で撫でた。
さりげないスキンシップとセクハラ。
でも本人は全然きにしてないみたいだ。
「…お前よりは傷はない。」
「僕は真っ先に突っ込む猪突猛進型だもん。」
「自慢になってないな。」
前髪を掻き上げながら笑う何気ない動作に心臓が高鳴った。
こんな至近距離で、しかも濡れて全裸。入浴剤がなかったらやばかったかも、これは。
視線を反らせて気を紛らわせるのに話題をふった。
「ヒショウ、なんで今日は一緒に風呂に入ってくれたんだ?」
彼は標準をなくして、視線を上の方に向けた。
何か悩むみたいに。
「……俺達、さ……恋人関係…なんだよな…一応。」
「違うって言われたら僕泣きながらウンバラバンジージャンプを湖じゃない方に飛ぶよ。」
むしろ今『一応』とか付けられた時点でそこの窓から飛びたい。
「いや、関係を否定するんじゃなくて、実感がなくて…な。」
「そりゃあ、あんま公言しないし、ヒショウはべたべたするの嫌いだし。」
やっぱ男同士ってのはねえ…僕は恋は盲目って感じで気にしないし、ヒショウは心が広いというか偏見がないけど
やっぱ周りからはイメージ的視覚的にもよくは映らないってわかってるもんね。
「…嫌いなわけじゃないが、したいと思わない。いちゃついてる恋人の精神がよくわからない…。」
なーるほど。
「でも、僕がそうやっていちゃつきたがってると思って、恥ずかしいの我慢して一緒に入ってくれた?」
抱きたいってのはまあ動物の性だから仕方ないけど、一緒にお風呂なんてしなくても済むことだから、ってヒショウは全く取り合ってくれなかったから。
今日は何かいろいろ思うことがあって付き合ってくれたに違いなかった。
「……恥ずかしいというか、馬鹿らしいと思っただけだ。」
「そっか。」
その頬っぺたが赤いのはお湯のせいなのかなあ…
「でもさ、無理して周りのカップルの真似なんかしてくれなくていいよ。
恋人だ!って僕が言い張るのはヒショウとベタベタしてたいんじゃなくて、ヒショウが誰か他の人と恋人になるのが嫌だったから。」
親友って枠組みだったけど、僕らは今まで誰よりも近くにいたじゃないか。
「あ、ヒショウってなんかツンデレっぽいな。」
「…は?」
いつも人目があるときは恋人のこの字も出させてくれないのに、でもこうやってお風呂一緒に入ったり恋人関係について真面目に考えてくれたり。
そんな優しいヒショウが、僕は好きだな。
「こうやって時々風呂とか一緒に入れたら嬉しいな、ってだけ。」
「…よくわからんが、分かった。」
そう答えた彼の顔は、その瞬間に目に見えて赤くなった。
「っ!!」
「ぐぶえっっ!!!」
つい、興奮して彼に迫ってお湯の中で体に触ったら
神速の平手が飛んできた。
油断、至近距離、ダブルアタック、いろんな要素が入って強烈。
「調子に乗るな、赤い血の風呂にするぞ。」
「ご、ごめんなさい……」
でも顔はにやけたまま直らなくて、仕方なくヒショウに見えないように平手されて横を向かされ固まったままで謝った。
まあ、ヒショウはツンデレじゃなくてツン8に対してデレ2くらいかな…ってのは分かった。
のでこれからあんまデレを求めない方向で行こう。ビンタ痛いし。
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