*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)
*小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。
*かなりぶつ切りです。
*携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)
*携帯にも対応しています。
*コメントでの感想なども歓迎です。
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寒い夜にほうり出され、茫然としていた。
「とりあえず、どこか宿とろうか。」
ルナティスがそう呟いて苦笑いした。
「お前は、それでいいのか?」
「いいけど、どうして?」
「…クリスマスだからってルティエとかに行きたがるかと」
「でもヒショウは寒いの嫌だろ?」
だったらそれでいいよ、と笑う。
…とりあえず、寒い。
「少し、歩くか。」
「宿は?」
「歩きながら考える。」
風はないし雪も降らない、しかし空気は肌を刺すように冷たい。
「マナのこの仕打ちはさ」
ルナティスがすぐ傍に寄ってきて俺の手を取りコートのポケットに突っ込む。
彼は手はいつも温かい、ポケットの中で尚更だった。
「気配りなのか嫌がらせなのかどっちかな」
「……さあな。」
夕飯の準備をしようとしたところで突然マナが俺にコートと荷物を押し付けて『どうせお前らクリスマスだからっていちゃつくんだろ、シェイディも嫌がるし一人身のうちらには目に痛いんだよ、ってわけで二人でどっか出掛けて朝帰りしてこい。』と笑顔で脅してきたのだ。
歩きながらマナに渡された荷物を確認してみる。
宿代や飲み代には十分な金。
俺がよく好んで飲んでいたブランデーの飲みかけ。
あと銘柄の合わない煙草。
適当に詰め込んだらしいが、この荷物を持っていたらなんだか物凄い駄目人間に思える。
「たまには、さ」
ルナティスが突然前を歩きだして、細道を行く。
「クリスマスらしくないことして二人過ごしてみるか。」
彼が悪戯っ子のように白い息を吐きながら笑う。
「……………。」
そうして忍び込んだのは、薄暗い部屋。
軋む木の床、ひび割れた窓硝子、しかしそれでも野外よりは寒さを防げる。
二人寄り添って、肩から掛けている薄い毛布はルナティスが持たされていた荷物だった。
「案外、気持ち良いなあ」
俺の肩に頭を乗せて、寄り添う所から伝わる体温にルナティスがそんなことを口走る。
俺も頬に触れる髪が、少し気持ち良いと思った。
不意に荷物の中のブランデーを思い出して、引き寄せた鞄から小瓶を取り出した。
「飲むか?」
「ん」
見せた瓶を、ルナティスが曖昧な返事のまま受け取り唇を寄せた。
彼は酒が飲めない訳ではないがブランデーを飲んでいるところをあまり見ない気がする。
「嫌いか?」
「……。」
聞いても彼は無言。
しかしブランデーを少し口に流し込み
笑いながらこちらを振り返り、顔を寄せろと手振りで指示する。
意図が分かり、乗り気ではないが彼のささやかな悪戯に付き合うことにした。
唇が重なり、少し開けた所から人肌に温まった液体が流れ込む。
ブランデーはロックが好きなんだがな…。
「勿体ないから、リサイクル。」ルナティスが笑いながら言うのを、同じく笑って熱を飲み下す。
「飲ませてやろうか」
そう言えば彼は笑ってこくこくと頷く。
思うに、俺達の関係が昔も今もこれからも変わらないのは、いつまで経っても子供っぽいからだろうか。
身体の関係だとかは抜きにして、精神的な面で。
いろいろあった、俺はいつもルナティスの負担で、時に傷つけた。
でもお前は絶対に笑って許すか忘れた振りをして無かったことにしてしまうんだ。
だから俺達はずっと笑っていられる。
時にはこんな風に口移しで酒を飲んで、エスカレートして口移しの喫煙なんかして
「ぐほ、ぐはっ!げはっ!の、喉が、鼻がっ」
「…お前、煙草吸ったことがないなら先に言えよ…」
笑いながら馬鹿して
特別なことなんか要らない。
同性でも結婚したいなんて要求するつもりもない。
ずっとこのまま変わらずにいればいい。
だから、たまには
イベントなんて無視でのんびり過ごすクリスマスでも、いいだろう?
「とりあえず、どこか宿とろうか。」
ルナティスがそう呟いて苦笑いした。
「お前は、それでいいのか?」
「いいけど、どうして?」
「…クリスマスだからってルティエとかに行きたがるかと」
「でもヒショウは寒いの嫌だろ?」
だったらそれでいいよ、と笑う。
…とりあえず、寒い。
「少し、歩くか。」
「宿は?」
「歩きながら考える。」
風はないし雪も降らない、しかし空気は肌を刺すように冷たい。
「マナのこの仕打ちはさ」
ルナティスがすぐ傍に寄ってきて俺の手を取りコートのポケットに突っ込む。
彼は手はいつも温かい、ポケットの中で尚更だった。
「気配りなのか嫌がらせなのかどっちかな」
「……さあな。」
夕飯の準備をしようとしたところで突然マナが俺にコートと荷物を押し付けて『どうせお前らクリスマスだからっていちゃつくんだろ、シェイディも嫌がるし一人身のうちらには目に痛いんだよ、ってわけで二人でどっか出掛けて朝帰りしてこい。』と笑顔で脅してきたのだ。
歩きながらマナに渡された荷物を確認してみる。
宿代や飲み代には十分な金。
俺がよく好んで飲んでいたブランデーの飲みかけ。
あと銘柄の合わない煙草。
適当に詰め込んだらしいが、この荷物を持っていたらなんだか物凄い駄目人間に思える。
「たまには、さ」
ルナティスが突然前を歩きだして、細道を行く。
「クリスマスらしくないことして二人過ごしてみるか。」
彼が悪戯っ子のように白い息を吐きながら笑う。
「……………。」
そうして忍び込んだのは、薄暗い部屋。
軋む木の床、ひび割れた窓硝子、しかしそれでも野外よりは寒さを防げる。
二人寄り添って、肩から掛けている薄い毛布はルナティスが持たされていた荷物だった。
「案外、気持ち良いなあ」
俺の肩に頭を乗せて、寄り添う所から伝わる体温にルナティスがそんなことを口走る。
俺も頬に触れる髪が、少し気持ち良いと思った。
不意に荷物の中のブランデーを思い出して、引き寄せた鞄から小瓶を取り出した。
「飲むか?」
「ん」
見せた瓶を、ルナティスが曖昧な返事のまま受け取り唇を寄せた。
彼は酒が飲めない訳ではないがブランデーを飲んでいるところをあまり見ない気がする。
「嫌いか?」
「……。」
聞いても彼は無言。
しかしブランデーを少し口に流し込み
笑いながらこちらを振り返り、顔を寄せろと手振りで指示する。
意図が分かり、乗り気ではないが彼のささやかな悪戯に付き合うことにした。
唇が重なり、少し開けた所から人肌に温まった液体が流れ込む。
ブランデーはロックが好きなんだがな…。
「勿体ないから、リサイクル。」ルナティスが笑いながら言うのを、同じく笑って熱を飲み下す。
「飲ませてやろうか」
そう言えば彼は笑ってこくこくと頷く。
思うに、俺達の関係が昔も今もこれからも変わらないのは、いつまで経っても子供っぽいからだろうか。
身体の関係だとかは抜きにして、精神的な面で。
いろいろあった、俺はいつもルナティスの負担で、時に傷つけた。
でもお前は絶対に笑って許すか忘れた振りをして無かったことにしてしまうんだ。
だから俺達はずっと笑っていられる。
時にはこんな風に口移しで酒を飲んで、エスカレートして口移しの喫煙なんかして
「ぐほ、ぐはっ!げはっ!の、喉が、鼻がっ」
「…お前、煙草吸ったことがないなら先に言えよ…」
笑いながら馬鹿して
特別なことなんか要らない。
同性でも結婚したいなんて要求するつもりもない。
ずっとこのまま変わらずにいればいい。
だから、たまには
イベントなんて無視でのんびり過ごすクリスマスでも、いいだろう?
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逃亡生活をする私達にはゆっくり湯に浸かるなんて機会は滅多にない。
普通の宿すら殆ど取らないのに、温泉地なんて人が多いところになんか行かないから温泉なんか以っての外だ。
けれどそれが人目に付かない秘湯なら別だ。
「……レイ?」
「………。」
「胸って、揉むとおっきくなるらしいわよ。」
「なにっ!」
揉んでいたというより、いかにも煩わしそうに胸を潰していただけなのだが、レイはぎょっとして自分の胸の膨らみから手をどけた。
顔は中性的、声も高めで、身体は造形が整った痩身。
そんな曖昧だが普段は男以外の何者にもにも見えないレイ。しかし服を脱ぎきつく結んでいた髪を頭上に緩く結いあげればどこから見ても湯煙の美女だ。
だが彼女は身体の女性である部分がきにくわないらしく、湯に漬かりながら自分の身体を睨みつけていた。
「せっかく綺麗なのに」
「…綺麗というのは嬉しいが、女である必要はない。」
「性転換手術でもしちゃえば?」
「副作用として運動機能に支障が出るらしい。」
つまり、試みたことがあるのか。
「それに、本当に男になったらそれこそシェイディに触れさせて貰えなくなる。」
「…それもそうね。」
貞操の危機、100%だものね。
シンリァがそれでも面白そうなのにとか不埒なことを考えながら、苦笑いを返す。
「かわいそうなレイ…」
「ん?」
シンリァの呟きは余りに小さく、レイの耳を掠めただけ。
怪訝な顔するレイを曖昧にかわしながら、シンリァは先に湯を上がっていく。
「…別に女でも、いいんだがな…」
ただ気に食わないのは、シェイディと違うこと。
成長期を終え、声変わりしたシェイディとは当然ながら随分身体が変わってしまった。
弟は自然と男として成長していくのに、自分は女で有る限り彼と同じ成長はできない。
男のように振る舞っても限界がある、いつかはあらゆる面でシェイディには追いつけなくなる日が来る。
それが嫌なのだ。
まあ、幸い彼はそんなに身長が延びなかったが。
「………。」
ふと、溜息。
そして苦笑い。
いつまでもシェイディに囚われないと彼に誓ったのに。
シェイディはいつか善い女性と…きっとマナと結婚して、家庭を持って父になって、自分とは違う所へいくんだ。
それを、自分が捕えてはいけないと分かっているのに。
身体の造りでさえ、彼から離れるのがこんなにも不満だ。
「ん?」
不意に背後で気配、そして水音。
湯煙の向こうから来る無防備な人間は、こちらに気付くと凝視して、固まった。
「ね、姉さっ…すまない!」
いたのはシェイディで、自分がまだ温泉に浸かっているとは知らずに来てしまったらしい。
彼は顔を真っ赤にして、慌ててUターンして戻っていく。
「こら」
「う、うあっ」
岩場に乗り上げたシェイディに飛び掛かり、バランスを崩して倒れ込んでくる彼を抱えたまま湯に戻った。
「一回入ったのにすぐ出たら湯冷めするぞ。」
「っ、っ、わかった!は、放してくれ!」
彼の背にはさぞ生々しくこちらの胸の感触が伝わっていることだろう。
耳まで真っ赤な理由は湯の熱さだけではあるまい。
こう弟を翻弄できるならこの身体も悪くない、なんて単純な発想をしながらレイは笑った。
同時に最愛の人を腕の中に(しかも裸で)閉じ込められる幸福を噛み締めながら。
「…ね、姉さん、頼むから…胸……」
「ん?興奮したか?」
そんな意地の悪い事を言って、彼の股間に手を延ばした
のは、流石にやり過ぎたらしい。
「…ちょっ、レイ、どうしたのその頬。」
「何かのギャグか?」
風呂から上がってきたレイの頬には、くっきり手形の赤い鬱血跡。
「……はは、ちょっとね…。」
普通の宿すら殆ど取らないのに、温泉地なんて人が多いところになんか行かないから温泉なんか以っての外だ。
けれどそれが人目に付かない秘湯なら別だ。
「……レイ?」
「………。」
「胸って、揉むとおっきくなるらしいわよ。」
「なにっ!」
揉んでいたというより、いかにも煩わしそうに胸を潰していただけなのだが、レイはぎょっとして自分の胸の膨らみから手をどけた。
顔は中性的、声も高めで、身体は造形が整った痩身。
そんな曖昧だが普段は男以外の何者にもにも見えないレイ。しかし服を脱ぎきつく結んでいた髪を頭上に緩く結いあげればどこから見ても湯煙の美女だ。
だが彼女は身体の女性である部分がきにくわないらしく、湯に漬かりながら自分の身体を睨みつけていた。
「せっかく綺麗なのに」
「…綺麗というのは嬉しいが、女である必要はない。」
「性転換手術でもしちゃえば?」
「副作用として運動機能に支障が出るらしい。」
つまり、試みたことがあるのか。
「それに、本当に男になったらそれこそシェイディに触れさせて貰えなくなる。」
「…それもそうね。」
貞操の危機、100%だものね。
シンリァがそれでも面白そうなのにとか不埒なことを考えながら、苦笑いを返す。
「かわいそうなレイ…」
「ん?」
シンリァの呟きは余りに小さく、レイの耳を掠めただけ。
怪訝な顔するレイを曖昧にかわしながら、シンリァは先に湯を上がっていく。
「…別に女でも、いいんだがな…」
ただ気に食わないのは、シェイディと違うこと。
成長期を終え、声変わりしたシェイディとは当然ながら随分身体が変わってしまった。
弟は自然と男として成長していくのに、自分は女で有る限り彼と同じ成長はできない。
男のように振る舞っても限界がある、いつかはあらゆる面でシェイディには追いつけなくなる日が来る。
それが嫌なのだ。
まあ、幸い彼はそんなに身長が延びなかったが。
「………。」
ふと、溜息。
そして苦笑い。
いつまでもシェイディに囚われないと彼に誓ったのに。
シェイディはいつか善い女性と…きっとマナと結婚して、家庭を持って父になって、自分とは違う所へいくんだ。
それを、自分が捕えてはいけないと分かっているのに。
身体の造りでさえ、彼から離れるのがこんなにも不満だ。
「ん?」
不意に背後で気配、そして水音。
湯煙の向こうから来る無防備な人間は、こちらに気付くと凝視して、固まった。
「ね、姉さっ…すまない!」
いたのはシェイディで、自分がまだ温泉に浸かっているとは知らずに来てしまったらしい。
彼は顔を真っ赤にして、慌ててUターンして戻っていく。
「こら」
「う、うあっ」
岩場に乗り上げたシェイディに飛び掛かり、バランスを崩して倒れ込んでくる彼を抱えたまま湯に戻った。
「一回入ったのにすぐ出たら湯冷めするぞ。」
「っ、っ、わかった!は、放してくれ!」
彼の背にはさぞ生々しくこちらの胸の感触が伝わっていることだろう。
耳まで真っ赤な理由は湯の熱さだけではあるまい。
こう弟を翻弄できるならこの身体も悪くない、なんて単純な発想をしながらレイは笑った。
同時に最愛の人を腕の中に(しかも裸で)閉じ込められる幸福を噛み締めながら。
「…ね、姉さん、頼むから…胸……」
「ん?興奮したか?」
そんな意地の悪い事を言って、彼の股間に手を延ばした
のは、流石にやり過ぎたらしい。
「…ちょっ、レイ、どうしたのその頬。」
「何かのギャグか?」
風呂から上がってきたレイの頬には、くっきり手形の赤い鬱血跡。
「……はは、ちょっとね…。」
「……。」
口に含んだ煙草から煙を吸い込み、喉の奥に通してから吐き出す。
すぼめた唇から吹き出る白煙が宙に散り消えていくのを無心で眺めていた。
今日のパーティーはなかなかバランスがいい。筈だった。
支援は半分殴りだがレベルはそこそこなので不足はないだろう。
自分は速度増加、あと時々のヒールがあればいいのだから。
アサシンの自分がしばらく敵をせき止め、ウィザードが一掃、理想的なパーティーであった。筈なのだ。
「おい、ヒショウ相当怒ってるぞ…煙草、苛々してる時しか吸わないもん。」
「ルナティス、謝れよ!」
「ウォルスが謝れよ!ふざけて僕にフロストダイバーとかかましてただろ!」
「君が支援をかまけて前線に飛び出してはヒショウにセクハラしてたからだろ!」
「それが原因じゃありませんー!だってヒショウがキレたのはウォルスが僕に対抗してヒショウにキスした時だもん!」
「君だってその前にキスしてずっと抱き着いて」
バキンッ
俺の手の中でレッドジェムストーンが砕ける音を耳にして、二人はやっと静まり返った。
砕けた魔法石は勿体ないのでそのまま自分の武器に毒属性でも付与しておく。
まあここのゴーレムどもにはあまり有効ではないが。
「二人共」
声をかけると子兎の如くビクッと震えあがる二人、いやむしろ二匹。
座っていた岩から飛び降り、煙草の火を押し付け揉み消し、適当に鞄に放り込んだ。
「SPは」
「「…回復してます」」
二人は息の合った声で返答してくる。
先程のふざけあいで二人のSPは尽きかけていたから、回復休憩兼、良い反省時間にはなっただろう。
「じゃあ行くか」
目も合わせない俺に、それでも機嫌が治ったと喜々として二人はついてくる。
本当は全く以って機嫌が良くなどなっていないのだが、カタールの腹で一発殴り飛ばして尚怒りをぶつけようとする程、俺は癇癪持ちではないというだけだ。
「はあああっ!僕のヒショウへの愛よーっ天使を呼べーっ!マグニッフィカート!!!」
「なんのー!降り注げ僕のヒショウとルナティスの仲の破滅を願う気持ちー!!ロードオブバーミリオンー!!!!」
「大魔法はずるいぞーっ!!」
「煩い!祝福を呼べないウィザードなら破滅を呼ぶのみだー!!!」
………二人共、互いの狩りでの役割を怠らなくはなったが………
一々叫びがうざったい。
ひそかに自分の名前が周りに知られないように冒険者証を懐にしまい込んだ。
WISだとかパーティーが使えなくなるし他にも機能停止するが、どうせウォルスがいるから公平は組んでいないし。
にしても、この二人いつの間にこんな風に争うようになったのか…。
狩りよりこの言い争いを楽しんでいるのではなかろうか。
ルナティスの俺への気持ちはとっくに既知だがウォルスのは…深い友情の範囲だろう、そう思いたい。
さっきのキスはただの悪ノリだ。
そうに違いない。
「やるなウォルス…ちょっと認めてやるぜ」
「じゃあ認めるならヒショウの一人占めをやめろよ」
「煩いな!そこは譲らんっ!時々ヒショウを二人で攻めて3Pなんて妄想しちゃったこともないでもないけど譲らねえ!」
「なっ!僕はそんなふしだらな事は考えていないぞ!健全なお付き合いしか眼中にない!」
「そんなこと言って~顔が赤いぞこのムッツリ☆」
「誰がムッツリだああああああ!!!」
…………駄目かもしれない。
会話がなんだかただの友情の範囲ではない気がする。
鈍い自覚のある俺だがルナティスとそういう関係になってから、段々鼻が効くようにはなってきたからこの会話をスルー出来る程鈍くはない。
まさか…
本当に久しぶりの幼なじみ再会をして早々に三角関係か…?
………とりあえずこんな時は…
逃げて聞かなかったふりだ
「あれっ、ヒショウがいないっ」「なに!パーティーも壊れてあるぞ?!」
「ちょっ、ヒショウー!また怒った?!」
「なっ、何故だ…!?」
口に含んだ煙草から煙を吸い込み、喉の奥に通してから吐き出す。
すぼめた唇から吹き出る白煙が宙に散り消えていくのを無心で眺めていた。
今日のパーティーはなかなかバランスがいい。筈だった。
支援は半分殴りだがレベルはそこそこなので不足はないだろう。
自分は速度増加、あと時々のヒールがあればいいのだから。
アサシンの自分がしばらく敵をせき止め、ウィザードが一掃、理想的なパーティーであった。筈なのだ。
「おい、ヒショウ相当怒ってるぞ…煙草、苛々してる時しか吸わないもん。」
「ルナティス、謝れよ!」
「ウォルスが謝れよ!ふざけて僕にフロストダイバーとかかましてただろ!」
「君が支援をかまけて前線に飛び出してはヒショウにセクハラしてたからだろ!」
「それが原因じゃありませんー!だってヒショウがキレたのはウォルスが僕に対抗してヒショウにキスした時だもん!」
「君だってその前にキスしてずっと抱き着いて」
バキンッ
俺の手の中でレッドジェムストーンが砕ける音を耳にして、二人はやっと静まり返った。
砕けた魔法石は勿体ないのでそのまま自分の武器に毒属性でも付与しておく。
まあここのゴーレムどもにはあまり有効ではないが。
「二人共」
声をかけると子兎の如くビクッと震えあがる二人、いやむしろ二匹。
座っていた岩から飛び降り、煙草の火を押し付け揉み消し、適当に鞄に放り込んだ。
「SPは」
「「…回復してます」」
二人は息の合った声で返答してくる。
先程のふざけあいで二人のSPは尽きかけていたから、回復休憩兼、良い反省時間にはなっただろう。
「じゃあ行くか」
目も合わせない俺に、それでも機嫌が治ったと喜々として二人はついてくる。
本当は全く以って機嫌が良くなどなっていないのだが、カタールの腹で一発殴り飛ばして尚怒りをぶつけようとする程、俺は癇癪持ちではないというだけだ。
「はあああっ!僕のヒショウへの愛よーっ天使を呼べーっ!マグニッフィカート!!!」
「なんのー!降り注げ僕のヒショウとルナティスの仲の破滅を願う気持ちー!!ロードオブバーミリオンー!!!!」
「大魔法はずるいぞーっ!!」
「煩い!祝福を呼べないウィザードなら破滅を呼ぶのみだー!!!」
………二人共、互いの狩りでの役割を怠らなくはなったが………
一々叫びがうざったい。
ひそかに自分の名前が周りに知られないように冒険者証を懐にしまい込んだ。
WISだとかパーティーが使えなくなるし他にも機能停止するが、どうせウォルスがいるから公平は組んでいないし。
にしても、この二人いつの間にこんな風に争うようになったのか…。
狩りよりこの言い争いを楽しんでいるのではなかろうか。
ルナティスの俺への気持ちはとっくに既知だがウォルスのは…深い友情の範囲だろう、そう思いたい。
さっきのキスはただの悪ノリだ。
そうに違いない。
「やるなウォルス…ちょっと認めてやるぜ」
「じゃあ認めるならヒショウの一人占めをやめろよ」
「煩いな!そこは譲らんっ!時々ヒショウを二人で攻めて3Pなんて妄想しちゃったこともないでもないけど譲らねえ!」
「なっ!僕はそんなふしだらな事は考えていないぞ!健全なお付き合いしか眼中にない!」
「そんなこと言って~顔が赤いぞこのムッツリ☆」
「誰がムッツリだああああああ!!!」
…………駄目かもしれない。
会話がなんだかただの友情の範囲ではない気がする。
鈍い自覚のある俺だがルナティスとそういう関係になってから、段々鼻が効くようにはなってきたからこの会話をスルー出来る程鈍くはない。
まさか…
本当に久しぶりの幼なじみ再会をして早々に三角関係か…?
………とりあえずこんな時は…
逃げて聞かなかったふりだ
「あれっ、ヒショウがいないっ」「なに!パーティーも壊れてあるぞ?!」
「ちょっ、ヒショウー!また怒った?!」
「なっ、何故だ…!?」
聖と魔
相反するものでありながらも隣接している
そして互いを渇望するのだ
信仰心と聖に満ち溢れた教会は激しく荒廃している
何故ならば魔に食い荒らされたからである
魔が聖を食い求めたのである
そして今では魔の巣窟に
聖は美しく
魔もまた美しい
沈んだ世界には光がない
微かな光は満ちた闇にすぐに食われ果てる
そして闇は拡大していく
「悲しい仔らよ」
闇の中でぽつりと響く声
優しく聖を纏う声
闇を受け入れ闇を包もうと声は句となりやがて句は歌になる
聖歌が魔を掻き乱す
魔は躍動する
好物たる聖の生贄がそこにいる
やがて闇が集中していき闇が具現化する
ぐらりと闇が揺れて
入口からゆっくりと踏み込んでくる声の源たるプリーストの前に
何も知らぬ子供が学ぶ為に模擬するかのように
闇はプリーストを模っていく
シルエットを、痩身に
服を、プリーストの法衣に
髪を、長く束ねて
その色彩を、銀灰に
顔を、白い人形のように
そして恐怖しろと言わんばかりに魔の者は邪悪に笑む
だがそれに返される聖の者の笑みは違い優しい
「愛し仔らよ」
抱擁し口付けを与えんとばかりに腕を広げてみせる
邪悪な笑みを張り付けていた魔はそれを僅かに歪ませた
「愛が魔に毒であるなら我らは貴方を愛せない
しかし貴方は我らを確かに渇望している
そして我らも貴方を確かに愛しているのだ」
魔法のように祈りのように
愛の詞を囁く
魔は確かに聞いていた
「我らと貴方は毒である互いを求めている。
だが我らが交わればそこに生まれるのは――無」
プリーストは腰に挿していた杖を手にして構える
ただし横にして柄と先の飾りを持って
まるでその杖を差し出すように
「それでも何者も自身が真に求めるものには逆らえぬから」
プリーストは無防備なまま足を進めた
それをまた模擬するようにプリーストを模った魔も歩み寄る
互いに違う笑みをしながら
「互いに毒の杯を飲み干そう
互いに食い合おう
互いに奪い合おう」
聖には死を
魔には生を
そこに生まれる無を求めて…
二人のプリーストは杖を振るい、互いに相手の腹に向けて突き出す
そして
互いの腹を突き破る
「マグヌスエクソシズム!!」
その瞬間どこからともなく割り込んだ退魔の法によって
そこら一帯は光に包まれた
「何やら悪趣味な談話をしていたな」
短髪長身のプリーストがゴツイ杖を担いで教会内に入ってくる
魔が満ちていた教会はただの廃屋と化して
先まで輝くようだった妖しい闇の美は消え失せていた
「ええ、楽しませて貰いました」
「俺にはお前の話はさっぱりだったがな」
「でも、聞いてくれたでしょう。彼らは中々に頭が良く、貪欲ですからね」
「…あんな風に囮役やる奴は初めて見たぜ。」
「詠唱とめんどいんですもん」
「………………。にしても、腹までぶっ刺す必要があったのか」
銀杯のプリーストは杖で腹にあいた穴をヒールで癒していた
致命傷は外しているし、深く刺さる前に後ろの相棒が退魔を行ったので軽傷である
「逃げないように、念のためです…あと」
プリーストは、また先に魔に向けたような笑みを浮かべた。
――私も、魔が欲しかったんです
相反するものでありながらも隣接している
そして互いを渇望するのだ
信仰心と聖に満ち溢れた教会は激しく荒廃している
何故ならば魔に食い荒らされたからである
魔が聖を食い求めたのである
そして今では魔の巣窟に
聖は美しく
魔もまた美しい
沈んだ世界には光がない
微かな光は満ちた闇にすぐに食われ果てる
そして闇は拡大していく
「悲しい仔らよ」
闇の中でぽつりと響く声
優しく聖を纏う声
闇を受け入れ闇を包もうと声は句となりやがて句は歌になる
聖歌が魔を掻き乱す
魔は躍動する
好物たる聖の生贄がそこにいる
やがて闇が集中していき闇が具現化する
ぐらりと闇が揺れて
入口からゆっくりと踏み込んでくる声の源たるプリーストの前に
何も知らぬ子供が学ぶ為に模擬するかのように
闇はプリーストを模っていく
シルエットを、痩身に
服を、プリーストの法衣に
髪を、長く束ねて
その色彩を、銀灰に
顔を、白い人形のように
そして恐怖しろと言わんばかりに魔の者は邪悪に笑む
だがそれに返される聖の者の笑みは違い優しい
「愛し仔らよ」
抱擁し口付けを与えんとばかりに腕を広げてみせる
邪悪な笑みを張り付けていた魔はそれを僅かに歪ませた
「愛が魔に毒であるなら我らは貴方を愛せない
しかし貴方は我らを確かに渇望している
そして我らも貴方を確かに愛しているのだ」
魔法のように祈りのように
愛の詞を囁く
魔は確かに聞いていた
「我らと貴方は毒である互いを求めている。
だが我らが交わればそこに生まれるのは――無」
プリーストは腰に挿していた杖を手にして構える
ただし横にして柄と先の飾りを持って
まるでその杖を差し出すように
「それでも何者も自身が真に求めるものには逆らえぬから」
プリーストは無防備なまま足を進めた
それをまた模擬するようにプリーストを模った魔も歩み寄る
互いに違う笑みをしながら
「互いに毒の杯を飲み干そう
互いに食い合おう
互いに奪い合おう」
聖には死を
魔には生を
そこに生まれる無を求めて…
二人のプリーストは杖を振るい、互いに相手の腹に向けて突き出す
そして
互いの腹を突き破る
「マグヌスエクソシズム!!」
その瞬間どこからともなく割り込んだ退魔の法によって
そこら一帯は光に包まれた
「何やら悪趣味な談話をしていたな」
短髪長身のプリーストがゴツイ杖を担いで教会内に入ってくる
魔が満ちていた教会はただの廃屋と化して
先まで輝くようだった妖しい闇の美は消え失せていた
「ええ、楽しませて貰いました」
「俺にはお前の話はさっぱりだったがな」
「でも、聞いてくれたでしょう。彼らは中々に頭が良く、貪欲ですからね」
「…あんな風に囮役やる奴は初めて見たぜ。」
「詠唱とめんどいんですもん」
「………………。にしても、腹までぶっ刺す必要があったのか」
銀杯のプリーストは杖で腹にあいた穴をヒールで癒していた
致命傷は外しているし、深く刺さる前に後ろの相棒が退魔を行ったので軽傷である
「逃げないように、念のためです…あと」
プリーストは、また先に魔に向けたような笑みを浮かべた。
――私も、魔が欲しかったんです
【ほんとう】はいつまでも【ほんとう】であるとはかぎらない
何かがゆがんで
【うそ】になっちゃうこともある
【ほんとう】になれるのは
【約束】なんて【理性】の産物じゃなくて
【欲】という【本能】だけ
「僕のこと、好き?」
「またか…」
「愛してる?」
「…何度も言わせるな。」
「なあ、ヒショウ…」
「…愛してる。」
その言葉に、僕は笑うけど
「僕も。」
Me too. なんて返すけど
おまえのは、【理性】なんだよね僕のは【本能】
根本的にちがうんだよ ね
でも
【うそ】でもいいから
【うそ】になってしまうものでもいいから
ちょうだい
恋なんて言葉はすぐに【うそ】に
愛してるなんて言葉もいつか【廃棄物】に
僕だってヒトだし
僕も【うそ】になってしまうかもしれない
いや
それはない
僕はわかってる
もっと深いところで
僕のせかいにはおまえしかいない
おまえが死んだときが
僕が死ぬとき
僕が死ぬときは
おまえを殺すとき
体裁なくなって
おまえが【うそ】で受け入れれば受け入れるほど
僕はその【うそ】を信じてしまって
僕の【理性】は剥がれ落ちて
一緒じゃないと嫌だ
【うそ】でいいから
【うそ】になる感情でいいから
受け入れて
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