忍者ブログ
*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)   *小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。   *かなりぶつ切りです。   *携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)   *携帯にも対応しています。   *コメントでの感想なども歓迎です。
[3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「馬鹿者が!!何のつもりだ!!俺に恩を売ったつもりか?!」

そんな訳がないだろう。
そう思いながらも言葉が出なかった。
驚くことがいろいろあったからだ。

「貴様がそんな腑抜けたことをする男だとは思わなかったぞ。」
珍しく怒りをあらわにして怒鳴る彼の姿に驚いたのも一つ。

「何だ、女のヒステリーかよ」
「クールかと思ったら可愛いんじゃねーの」
「隊長するより補佐でお茶くみしてる方が隊の役にたつんじゃねーの」
確かに彼は美しい成りをして女に見えないこともなく、からかわれたり虐げられることが多い。
だがそんなことに彼は一切反応しない。
女がおらずむさ苦しい場では、男でも小綺麗ならすぐに皆構いたがる。
下心があるにせよないにせよ、何かしら不満のぶつけ先にされる。
それを彼もよく分かっていた。

「くじ運で隊長候補に上がった出来損ない共が、この男の足元にも及ばぬくせに偉そうに俺に口を聞くな!!!!」

分かっていた筈なのに、いつも無視している日常的なからかいに反応しているのもまた驚いていることの一つ。
「……お前の怒りは最もだ。俺は騎士として、お前を侮辱したも同然だ。」
「ならばさっさと隊長候補除外に異議を申し立ててこい!」
「それは出来ない。」
「何故だ!お前は俺に勝った筈だ!」

隊長候補選抜試験で
対戦表が組まれ何度も戦う内に二人の対戦に至った。
だが戦っている内に、俺は彼の剣に限界がきていることに気付いた。
あまりにも早過ぎた、恐らくまたどこかの馬鹿の嫌がらせだった。

試験に使える剣は一本限り。
それを折れば、俺は晴れて隊長になれる。
だが彼は、剣が折れた限り他の試合で勝ってのし上がることはできない。

そう思えば、身体は自然と勝利を拒否した。
だが、さりげなく彼に勝利をなんて気の効いたことは出来ず
追い詰めた彼に振り下ろす筈の剣を脇に振り下ろし、石畳にたたき付けて自らの剣を折った。

だがそのことを不思議と悔しいと思うことはなく、また勝負をした時に彼を負かしたいと思うかというと…疑問になる。

「…俺の気持ちは変わらない。」

もし俺が隊長になれば、別の部所に移ることになる。
そうすれば彼と会うのは困難になる。

なれる自信はあった。
だが自ら剣を折り、その理由に気付いたら、もう隊長になりたいと思わなくなっていた。

「俺がなりたいのは、隊長などではなかった。」

そう言えば、彼自信の目標が過小評価されたと思ったのか、顔をしかめて腕を振り上げる。
手甲が外された拳が頬骨を砕く勢いで飛んできた。

首を痛めぬように耐えず受け身だけを取ったが、その様は実に情けなくなった。

「貴様の面など見たくない、お前を騎士などと思った俺が馬鹿だった!!」

彼は踵を返し、離れていく。
それでも、俺の瞼には彼の穏やかで神秘的な色彩が焼き付いて離れない。


俺を騎士から堕落させるのは俺の弱い心とお前の存在だというのに。
PR
突き飛ばされ、背中をぶつけた。
その拍子に小棚に置かれていた何かが落ちた。

「優しい顔、なんかするな…」

いつも嘘臭い程穏やかにしている男は豹変している。
目が、座って…どこか酔った風だ。
しかし当然ながら酒気はない。

「優しさを履き違えてる奴は、嫌いなんです」

壁に肩を押し付けられ、至近距離で見下ろされても怖くはなかった。
人を怯えさせるほどの覇気が今の彼にはない。
瀕死で、それでも虚勢を張っているような猫だ。

ふと、ゆっくり彼の顔が近付いてくる。
近すぎて、何も見えなくなった。
思わず彼の肩を掴んだが、突き放すには今の彼は弱すぎて、そのまま砕け散りそうな気さえして。
何もできずに、口付けされるのを許すしかなかった。

「ルナなら、突き放す。」
軽いキスのあとに、低い声で唇にたたき付けられた言葉。
心臓が跳ね上がった。
油断して、ルナティスを裏切った。

「貴方の優しさは、どこかで誰かを傷付ける。」

経験のあることで、何も言えずに体が強張るのを感じた。

「どうせ、優しく受け入れるふりだけして、抱かせてはくれないのでしょう」
「……は!?」

まさか彼がそんなことを考えているとは思わず、ぎょっとして飛び上がった。
そんな様子を馬鹿にしたように鼻で笑って、立ち上がる。

「貴方もさっさと、有無を言わせず諦めるしかないと思わす程に、ルナティスを選んでしまえばいいものを」


口付けの跡を掻き消すように、唇に親指を押し付けて擦ってくる。
ヒショウはうっとおしそうにそれを振り払った。

「なんでもかんでも受け入れるっていう貴方も、神も、嫌気がさすんですよ。」

神職の証である法衣を靡かせ、青年は背徳の言葉だけ残して部屋を出て行った。


━━━━━━━━━

ここがどことか、二人に何があったとかきにしない!
「貴方は私の何処が好きだというんです?」
グローリィは笑っていた。
でもそれはいつもの笑顔じゃなかった。
「初めてお会いした時、とてもよくして頂いて…。お優しく笑って下さった時にまるで天使様に見えたんです。」
「そんな、大袈裟な…」
彼は笑い声を漏らして頬を染める。

違う。
嬉しそうでも楽しそうでもない。
少なくともこれは俺にいつも見せてくれる顔じゃない。
その意味はわからないが、まるでスマイルマスクをはりつけたようで…
俺の同業者が人を騙す時のそれに似てる。

「…貴方はとても綺麗な方ですね。」
彼が目の前の女性に囁いた。
【ジノは綺麗ですね】
俺には勿体ない言葉だ、今目の前のシスターに言うのが似合う。
それでも、俺にも言ってくれたのは、嬉しかった。

でも何故だろう。
今のグローリィの言葉が、笑顔と同じで俺の時より空虚に思えるのは。
俺が舞い上がっていて、彼の心理を読めなかっただけかもしれないが。

頬を染めたシスターに、愛のある言葉を囁くように続けた。
「まるでまっさらだ。純心なわけでもない、内に輝きをもつ原石のようでもない。」
けれど、言葉の内容も、まるで空虚だった。
「単直に言えば無知。私が渇望してるのはそんな綺麗な人じゃない」


「………。」
無知…正しく俺じゃないか。

聞いてはいけなかった。
ただ偶然、グローリィを訪ねたらこの現場見かけて…
覗き見た結果、彼の本当の気持ちを知った。
「………。」

今更だが、彼に心の内で謝り、その場を後にした。






私が欲しいのはね、地獄を見て、這い回って

それでも生きて尚気高く美しくあった人だった。


救いや神の愛を必要としながら、それでもそれを口にせず独り気高くいることを選んだ。
神を信じ、必要としながらも、決して求めず拒絶もしない…それはまるで自身が小さな神であるように思いませんか?


私はね、シスター

いつか彼をさらって、私だけの神にしたいんですよ。


例え、行き着く先が地獄でも
そこが二人だけの世界であるなら…
「ヒショーウ」
「ん?」
「したいー」
「………。」

「駄目?」
「明日、ミサがあるんじゃないのか。」
「10発やった後くらいでも元気で行ける。」
「………。」(←むしろそんなにやられたくない)

「…朝、セイヤが部屋に迎えにきたら」
「僕らが相部屋の時は誰も部屋に来ないだろ。暗黙の了解になってるみたいだよ。」
「………。」(←そんな了解されたくなかった)


「…わかった、していい。」
「っしゃ!!!!久々だから全力で優しくするよ。」
「…本当だな?」
「うん。本当。」
「絶対だな?。」
「絶対、絶対。(初めてじゃないのに、久々だから怖いのかなぁ、可愛い)」

「…じゃあ、ルナティス…する時に、頼みがあるんだがいいか。」
「うんうんwいいよ。何?」
「3分でイけ。」



「…………ぇ」
「優しく俺の身体を労って3分で済ませろ」
「カップラーメン作る早さでイケとか無理!僕、早漏じゃないし!」
「絶対って言っただろ。」「出来ることと出来ないことが…」
「じゃあしないか。」
「する!」
「OK、3分だからな。越えたら一分につき金とるか一発づつ殴るからな。」
「ヒィィィ!!!!(汗)」




無事に3分で終わったかは謎。



―――――――――――――――

喘いでる自分が嫌いなので、見せたくない。
それで興奮するルナティスが理解できない。
むしろ無理してると思ってる。
なので3分なら喘ぐのを我慢できるかもと考えた。

そんなヒショウ。
それを拾ったのは、賭けだった。
私の中の偽善と狂気、どちらが勝るか…

私は赤子を拾った。
私が殺した女の腹から。

気持ち悪い程パンパンに膨れあがった腹に、弱々しくもたしかに灯る命があるのだと知れた。

そのまま放って置けばそれもただの肉の塊に帰すだろうが、俺はその腹を切り裂き中身を取り出した。



羊水と血が溢れる女の腹の中には生き物が二つ。
そこらで見るモンスターより余程化け物じみてみえた。

「コードネーム、名前はお前が考えろ、ジノールス。」「じゃあ…ルァジノール。」
「俺とお前の名をくっつけるな、気色悪い。」
「面倒だ、もう決めた。」

メルァーゼ、通称ルァは私の監視者。
と言っても案外人間らしく、俺を拘束しなければ放置・傍観もしない。
監視者というよりもペアに近い。

ルァから手渡された子供は泣き疲れたのか、私に怯えたようだったが泣いていたが声はあげなかった。
ルァが抱き抱えていたのは歩くのが遅いからで、もう歩くことは出来るらしい。

「もう一人、いただろう。」
「死んだ。」
「やはり子供は呆気なく死ぬ。」
「お前が温めも羊水を吐かせもせず首根っこ掴んで連れて来たからだ。この子供も危なかったそうだ。」

そんな事に興味はない。
これは実験なんだ。

「双子は替え玉やフェイクに使えるから便利だったのに。」
「コイツはどうせアサシンになる前に死ぬさ。」

既に、黙って見上げてくるチビに拳を振り上げたい気分。
だが俺の中の者がやめろと身体を拘束している。

「…そうはいかないかもしれないぞ。」

ルァが無感情に言う。
俺にもこのガキにも同情なんかしていないんだ。

「その子供、口がきけない。目は訓練で何とかなるだろうが、視力も弱いみたいだ。」
「ふん、オブジェにはなるか。」
「……ジノールス…」

鼻でわらった俺に何かを感じたらしく、嫌悪する目を向けてくる。

「“俺”は相変わらず嫌われ者かよ」
「嫌ってるわけじゃない。お前はすぐに何でも壊すから面倒臭い」
「ならお前の為にコイツをミンチにしてぶちまけてやろうか」

笑いながら白い頭した子犬みたいな子供の頭を掴んだ。
まだ言葉なんかろくに分かっちゃいないだろうが、頭を掴まれて怯えたようだ。

「…そのうちお前がミンチにされるぞ。」
「お前がするのかよ。」
「俺は汚れる殺し方は嫌いだ。」
何ともいえない会話を交わし、俺は子供を小脇に抱えて家の奥、ほとんど使わない寝室に放り込んで扉をしめた。

そのうち開けようと四苦八苦してる音がしてきたが、ノブを回せても開かないように椅子を扉の前に転がした。


「悪いな…しばらく出てくるなよ…」
椅子をもう一つ、扉へ押し付ける 。

今出てきたら…

「…私はお前を、殺してしまうから…。」
椅子を掴む手が震えて、納まらない。


「…相変わらず、損だなアンタは。」
ルァが、私の後ろに立つ。
震えている私を労るように頭に手を置いてくれる。

「…そう言うなら…私があの子を取り出すのを止めてくれればいいのに。」
「あれは組織の暗殺者として正しい行動だ、止める理由はない。」

笑いが込み上げ、涙がでそうになる。
「…意地が悪い…。」
「俺がジノールスという男をいじめられるのは、あんたが出てるときくらいだからな。」

そうだ、彼は私の敵にも味方にもならない。
ジノールスという男そのもののパートナーであるだけだ。
それは彼なりの優しさなのだろうけど…

ジノールスの良心である私には、辛いのに。

「“お前達”の実験なんだろう。」

ジノールスの中のアンバランスな悪意と善意、どちらが勝るか。
あの少年、ルァジノールを生かすことができたら、私は優しい人間になれるだろうか。

なりたいわけじゃない。
ただ自分が分からないから試しているだけだが。


「どうか、生きろ…ルァジノール…」

今の私はただ、そう願う。

――――――

ジノールス:ルァジノールの育ての親。やや人格障害。
ルァジノール:育ての親。ジノールスが優しい時は部屋に閉じ込められていたので、彼にはDVの記憶しかない。
<< 前のページ 次のページ >>
アクセス解析
忍者ブログ [PR]