忍者ブログ
*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)   *小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。   *かなりぶつ切りです。   *携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)   *携帯にも対応しています。   *コメントでの感想なども歓迎です。
[5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「はい、バレンタインチョコですw」
そういいながらメルフィリアが夕食の席に色とりどりのチョコが盛られた皿を置く。
趣味がお菓子作りであるメルフィリアが夕食担当の時は大抵食後に軽くお菓子が振舞われる。
バレンタインの夜にも彼女のチョコは毎年恒例なので、みんなちゃんと夕飯は腹八分目にしていた。

「ヒショウさんはチョコ作らなかったんですか?」
メルフィリアのチョコを満足げに平らげていたルナティスを見て疑問に思い、その恋人に率直に質問を投げかけた。

「…チョコは苦手だ。」
ヒショウはルナティスと恋人としっかり認識されていることを恥じているのか、少し顔を赤くしている。
彼は甘いものが苦手というが、料理は好きな部類だったはずだ。

「でも作るだけなら大丈夫なのでは?」
「味を見ずに初めて作るものを美味く作れるか?」
問い返されればなるほど、と納得してしまう。

「不味いもんでも、乙女ちっくに「愛情はたっぷり込めたから」とか言えばいいんじゃねーの?」
そんないい加減な発言をするマナだが、なぜかルナティスと腕相撲をしている。
本人を目の前にしているのだからまじめな発言ではあるまい。

「…きもい。」
「…確かにそんなヒショウはちょっと怖いかもしれない。」
自分のことなのにきもいときっぱりいうヒショウと、それに納得しているルナティスだ。

「じゃあ裸エプロンでもしとけば?」
マナのその発言に、一同は吐き気を催したようだ。

「それはいいかもしれない…!」
ただし、ルナティスは除く。
だが言い終わった瞬間に、ヒショウの靴がルナティスの頭を壁に押し付けていた。

「お前の感性はさっぱりわからん。」
「…恋人を足蹴にできるお前の感性もわからねーよ。」

ヒショウに隠れて、マナの呟きにその場の誰もが賛同した。

バレンタインでも人前で恋人らしさの欠片も出せない二人に、甘い時間はまだ訪れそうになかった。
PR
天気は曇り。
いつ雨が降るかもわからない空模様だった。

あのアサシンが道端にしゃがみ込んでいた。
隣にはアコライトの女の子。
異色な組み合わせだが、不思議と絵になるのは何故だろうか。

見つからない所で、様子を伺っていた。
でもすぐ女の子は立ち上がって、彼から離れた。
そしてこちらへ来る。
俺は咄嗟に何もない方を見て、考え事してる散歩人のふりをした。

だが彼女とすれ違う瞬間、思わず息を呑んで彼女を見つめてしまった。

ただの平凡な女の子だ。
それが顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
俯いて顔を隠していたが、見えてしまった。



「おい」
「やほ」
「やほじゃねえ」

膝を抱え込むようにしてしゃがんでいるアサシンと、それをにらみつけて見下ろすバードがいる。

「さっきの女の子、なんだ。」
「妬いてるの?」
「泣いてたぞ」
「女泣かせなイイ男?」
「ふざけてんなよ!お前が泣かせたんだろ!」

怒鳴り、掴み掛かってもアサシンはにこにこ笑っている。
だがそれで身体を引かれ、曲げた膝の奥、腹の上にあるものがバードの目に入った。
一瞬、ただ驚き固まった。
そこにいるのは半目を開けてぐったりとした猫らしき物体。
ぱっと見はぼろ雑巾に見えてしまった。

「なんだ、それ」
「猫。さっき死んだ。」

猫は体の下にアサシン用マフラーを敷かれてベッドに寝ているようだ。

「もう助からないからヒールいらないって言ったのにね。さっきの子がヒールしちゃって苦しいの長引かせちゃった。」

その声には女の子を責める感情も、猫を労る感情もない。
まるでただの世間話。

「……。」

なんと言っていいか分からず、バードは立ちすくんでいた。
いつもただ気持ち悪いだけのアサシンなのに、その時は少し違って見えた。

やはりまともには見えないが、まるで小動物の死を悲しむ子供。
だが泣かない、悲しんですらいない。

笑っている、いつも通りに。
つまり何も感じていないのだ。

「なんで、そうやってるんだ?」

マフラーを汚して、肌寒い道端に座って、猫の死を看取って。

「コイツ、飼い猫だから。」
「野良猫ならしないのか」
「野良は人間に興味ないだろ。一人で死ぬのは覚悟してる。」

だが今そこで息絶えた猫は違う。

「最後に飼い主を恋しがったか怨んだかは分からないけど、人の体温は欲しかっただろーし。」

そう言いながら、彼は猫の胸や喉を指先で探り、死んだことを再確認する。

「………案外……優しいんだな。」

そう呟くのにもかなり抵抗があった。
大嫌いな相手だ、本当なら口をききたくもなかった。
でもそう思ったのだから仕方ない。

しかし彼は首を横に振った。

「あんたは、歌うことは好き?」
「?」

突然振られてすぐに認識できなかったが、遅れて頷いた。

「でも毎日毎日、歌い続けさせられて、歌は積もりに積もって後も先も見えなくなったら、歌うのも嫌にもなってくるだろ。」

頷いた。
歌い人の魅力は自由なところだろう。
まだ無限にあるであろうものの美しさを探し、歌うのがいい。

「それと同じ。俺はそうやって殺すことが嫌いになった。」


それはつまり

飽きる程に、彼が人を殺したという事実。
だが何となく想像もできて驚かなかった。
こんな変態がまともな人間なはずもない。

「なら俺に殺してくれというのも嫌になれ。」
「それは別物。」
「殺すことが嫌になったんだろ。ならまともになれよ。殺されたいなんてもっと馬鹿らしい。」



アサシンが笑う。
さっきまでの無感情とは違う。
いつも殺してと懇願するときにしている、底の知れない不気味な目だった。

彼はマフラーで猫を包み、抱え上げた。

「じゃあ、あんたに質問。」



―あんたが歌うことに飽きた時、願うことは何だと思う?




音をたてて空から雫が落ちてくる。
その音、雫の描く波紋
それだけで美しい歌の一つになるだろう。
慈しむべきそれは、自分をいずれ変える。



自身が歌になりたい。
それが答え。
伝わる歌にも新しい歌にも、夢物語のような自伝の歌がいくつもある。
皆、同じことを考えたのだ。

あの男も既に変わった。
そして自伝をのこした詩人達のように、願いを果たそうとしている。
それだけのことなのか。



―歌うことに飽きれば、歌われることを願う

―殺すことに飽きれば、殺されることを願う


最上の形で
ルナ「ヒショウ~……」
ヒショ「Σ …どうした、号泣して…。」
ルナ「怖い夢みた……」
ヒショ「…そうか。(子供かよ…)」

ルナ「…ヒショウが結婚しちゃうんだ…」
ヒショ「…そうか。(もうしただろうが。)」

ルナ「よりによってレイヴァと」
ヒショ「それはありえないな。(レイヴァにそんな目で見られたらこのギルドから逃げるぞ、俺は)」

ルナ「しかも古墳の上で
ヒショ「……。」

ルナ「参列者はもちろん埴輪で」
ヒショ「……。」

ルナ「でも形式はウンバラなの」





ヒショ「それは非常に興味があるな。(やりたくはないが見たい。)」

ルナ「(え、僕らの結婚式はプロンテラ式のつもりだったんだけど、そっちの方がいいのか!?)」
俺の恋人とその友人は、夕飯の片付けなんかしながら昔話に花を咲かせている。
団地妻かっつーの。

だが少し前までは、こんな風に大切な奴が一人いて、その仲間がいて仲良く飯食ったりするなんて思いもしなかった。
昔からしたら滑稽だが、体験してみるとなかなか悪くない。


「騎士さん騎士さん」
肌も髪もやたら白いウサミミプリーストが、俺の隣に腰掛けて売女みたいにこっちを向いていた。
初めは白子ってやつかと思ったがそれにしても白い。

その上極上の美人だ。男だが。
だがやはり俺は今の恋人の方がいい知れぬ魅力があると思う。

惚気だ。


「食後のテザートにこちらのクッキーと焼酎は如何ですか?」
やたら媚びを売るように言ってくるが、なんだその組み合わせは。
飲めないことはないが、元の文化が違う。

「こちらのクッキーなんか、貴方の愛しのアサさんのお手製ですよ?」
「嘘だな、アイツは基本小麦粉とか米のもんは食わねーし作らねー。」
図星を指されたようで、耳がピンと跳ねた。

このウサギプリが何を企んでいるかは知れないが、そのクッキーをあえて引っつかみ、口に放り込んだ。

咀嚼して、飲み下す。
「で、クッキーに何仕込んでやがったんだ?」
聞くと、プリーストは黒い笑みを浮かべて腹から笑いだした。

「引っ掛かりましたね!騎士さん!!」
「引っ掛かってやったんだよ。」
「実は先日、オリジナル勃起薬を開発する機会がありましてね。」
「何やってんだお前さんは。」
「その逆の開発をも成功したのですよ!!
今のクッキーに仕込んだのはその記念すべき第一作!!!!
食べればたちどころに性欲減退、ムスコさんは意気消沈!
これで日々貴方に無体されているアサさんをこの手で守っ」

俺はソファ脇にあったごみ箱にさっき食ったクッキーを吐き出した。

「Σな…、リバースですって!?」
「毒仕込まれた時の為にな、食った物吐き出すのは得意なんだよ。」
「何ですかその非生産的な特技は!!蛙かい!!!!」

「さて、性欲がどうなるって?
小生意気なボケプリースト見てたら気分も舞い上がってきたみたいだが。
さっきのクッキーのせいかな…?」
「Σヒイイイイッ」
「いやしけいを虐めるのもほどほどにしておけよ。」

チッ
つれない恋人は嫉妬も止めもしない。
したらしたでうざったいかもしれないが。




夜は特に何を話すでもない。
ただ並んで酒を飲む。
その合間に、ツマミを取り出して口に放り込んだ。

「…おい、そのクッキー。」
アサシンが指すクッキーはもう俺の口の中だ。

「さっき喰う時に一個くすねた。
ま、お前に無理させてんのも事実だからな、ちょうどいい。」
クッキーの味は、美味くはなかった。


「今度一ヶ月分くらいまとめて作ってもらうか。」
「勘弁してくれ。」

アサシンの目は本気だった。
少しばかり挑戦だった狩りを終えて二人は帰宅し、汗の滲んだアンダーを床に投げ捨て、互いに傷の治療をした後。

「お前、アサシンのわりに痛みに強いよな。」

白髪のアサシンの細めの二の腕に刻まれた縫合後の傷を見ながら、黒髪の騎士が言う。
それを特に気にした風でもなく、アサシンは黙っていた。
痛みに強いのではく、痛みに限らず感情を表に出すのが苦手でまた抑えるのが得意なだけのこと。

「…なあ。」

唇に歪んだ笑みを乗せる騎士。
この男のこの顔はろくでもないことを思い付いた時のもの。

「痛いのが好きなのか。」
「嫌いだ。」
「本当かよ。」
「お前が痛めつけるのが好きなだけだろう。」

嫌な予感に背筋が冷たくなるのを感じながら睨めつけた、精一杯の拒絶。
だが好奇心に火の付いた子供の様に、その男は引き下がる気はないらしい。

「試してみようぜ…」

騎士で古傷がびっしりついた固い筋肉に包まれた腕で、アサシンの肉の薄い細腰を引き寄せる。
武器を持って間合いを取れば均衡する実力は発揮されるが、武器もない密着状態ではアサシンに抵抗の術はなく、身体を露出させれば体格の差で余計アサシンを弱く感じさせてしまう。

相手を拒むわけではないが肌を重ねることに抵抗があるのは、立場が明らかに下になるからというところが大きい。
やはり雄である以上強くありたいものだ。

だがそんな思いも構わず蹂躙するのがこの騎士。


「試してみようぜ。」

不気味に笑いながら鼻先を近づけて唇のすぐ上で囁く。

「普通にヤんのと、痛えの、どっちがアンタは感じるか。」

ふざけたことをぬかす男のその頬に拳をめり込ませる前に、ベッドに押し倒される。
帰ってきたばかりで背に当たるシーツは冷たかったが、腹胸にのしかかる騎士の体温は対照に熱い。



――――――――――

リハビリ作の予告。

……SM!?
SMではないと思う!!

先日、間違えてS極とM極って言っちゃった!(関係ない)
正解は言わずともN極。
<< 前のページ 次のページ >>
アクセス解析
忍者ブログ [PR]