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*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)   *小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。   *かなりぶつ切りです。   *携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)   *携帯にも対応しています。   *コメントでの感想なども歓迎です。
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「ルナティスさんって、ヒショウさん以外に彼氏いなかったんですか?」
「さりげなく彼氏なんだね、ありがとうセイヤ。僕、一応ノーマルだよ。」

まあ、男と寝ることに抵抗はないのは確か。
ついでに恋人は男だけど。

なんだか人の事情に首を突っ込むのが好きな後輩アコライト君がにこにこしながら聞いてくる。
凄く聞きたい、ってわけではないんだろう、顔がそんな真剣じゃない。
彼には何となく話のきっかけが欲しいくらいのこと。彼の話好きな性格のおかげであまり喋らない人種が多いこのギルドも明るい日常だ。

「ヒショウのことが好きなのは、もう小さい頃からずっとだったからねえ…」
「じゃあ、ずっと一筋だったんですね。」

「いや、何回か彼女はいた。」
「……いたんですかい、ヒショウさんの下りが要りませんよ。」

「それでも心はヒショウ一筋だったと主張するために。」

一応、会話が聞こえる位置にヒショウがいるからね。
そちらを見ると「はいはい」なんていい加減な反応しながら武器を磨いている。

「まあ、一応、男の子ですから僕も…片思いの寂しさを紛らわす為にね…」

何だか言い訳がましいな、なんて思いながら歯切れが悪くなる。
それを言えば、ヒショウにだって彼女とまではいかなくても女の人との付き合いはあったから後ろめたくはない筈なんだけど。

「あ、一時期マナさんと付き合ってませんでしたっけ。」
「いや、あれはヒショウを騙す為に」

あ、なんか思い出してヒショウが苛々してる…
武器を扱う手が雑になっているのが見る人が見れば気付くだろう。
まあ、彼にはいろいろ嫌な重いさせたしな…嘘の既成事実で僕が無理矢理抱いたわけだし。
でも初めてヒショウが僕に見捨てられるのを懸念して泣いたっけ。
あれはたまらなかった。

懐かしいなあ…。
今思えばかなり酷いことしてるけど、あの時はいろいろ切羽詰まってたから…………

「でも嘘でよかったですよね。もし本当にマナさんとルナティスさんがくっついてたら近親相姦だし。」

可愛い顔してさらりとえげつないこというなセイヤ!







あ。


「………。」

僕は何だか顔面蒼白になりながら、マナを見た。
彼女は目を丸くして、けれどすぐに僕の視線の意味に気付いたらしい。

「あー………遅かったな。」

マナはにやりと悪戯っぽく笑っただけだった。
お、遅かったなとかそうゆう問題じゃないだろ!?

「ま、まさか…恋人のフリに乗じてやっちゃったとか…」
「……フリに乗じてというか…もっと昔に……い、いや!でも多分酔った勢いで裸で寝ただけで多分やってはいない!泥酔すぎてそんなこと出来る状態じゃ」
「私あの後超フトモモ痛かったんだけどー、股とかマジ痛かったー。」
「うそだああああああああ!!!!」

笑いながら爆弾を落とすマナを、無意味理不尽にシバきたくなった。
別に、道徳に反して心傷付くような神経してないけどさ、思いもしなかった禁忌ってやつに酷くショックを受ける。

「………近親相姦はどーでもいいが、マナさんに手を出してた事実は見逃し難いぞルナティス、土下座しながら切腹しろ。」
「土下座で腹切りって難しいし!いや、しないし!っていうかどーでもいいのはそっち!?」
「まーまー、シェイディ、これでも一応私の弟なんだ、大目に見てくれたまえ。」

「マナさんもマナさんだ!俺がいたのにルナティスと…っ」
「いや、お前と付き合う前だからな?」

僕はうちひしがれながら、ヒショウの方を見てみた。
一瞬、こちらを横目に見ていた彼と目が合う、が
目を反らされた。


Σ(;゜Д゜;;)

「ヒショウ…!無意識だったんだ!不可抗力だったんだ!知らなかったんだ!見捨てないでー!!」
「いや、別に…」

ヒショウはマナの方をちらっと見てから、溜め息をついた。
『やっぱりルナティスもあーゆうスタイルのいい女がいいんだろうな、乳とか』とか言っているような気がして思わず慌てる。

「確かにマナみたいにボリュームあるスタイルはタイプだけどヒショウに比べたらスッポンだから!ヒショウみたいに優しくて綺麗で細くて感度いいのとかさいぶほっ」

僕の褒めちぎりは顎への衝撃で切れた。
足を組み換え様に蹴り上げられたらしい。
……いや、怒られるの分かってたけどね、分かって欲しかったから。
ぐるりと視界は回転して、僕の意識も暗転していった。


「…大体、嘘だろう。」
ヒショウの呟きに、気絶したルナティスを介抱していたセイヤが小首を傾げる。
「マナがお前にやられた、って話。」
「え?」

ヒショウははっきりとそう言いきるが、その根拠はどこに?
当人でさえ否定しきれなかった事実を何故ヒショウが?とセイヤは怪訝な顔で訴え続けている。


「昔、皆で盛大に飲んだ時のことだろ。お前とマナがあまりに酒臭かったから二人まとめて部屋に押し込んだ。で、そのあと心配になって部屋覗いたら二人して吐いてたから、俺が汚れた服脱がして二人をベッドに押し込んだ。」

ルナティスにとってはありがたい事実を、当のルナティスは気絶して聞き逃している。

「なんだ、そうゆうことですか。」
「そうゆことなんだな」
「お前が言うな、マナ」

「でも、だからって裸にしなくてもよかったんじゃ?」
「裸にはしてない、ルナティスは下は履いてたしマナには肌着を着せたぞ?」
「………え、じゃあ…?」

何故ルナティスは二人とも裸だったと記憶していたのか。
その理由に悩んだのは数秒だった。

その場にいた者の視線が、マナに集まる。



「てへっ」


マナは自分の頭を拳でコツンッと叩いて舌を出した。
美人だけあってそのかわいらしい動作は不快なものでは決してなかったが、皆を呆れさせた。

そんなことは露知らず、ヒショウの足元に倒れるルナティスは夢の中で神に祈りを捧げているようだ。
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