*小説を携帯などからUPするスペースです。(かなり自分用です。)
*小話からプチ長編や、本編もちょくちょく更新すると思われます。
*かなりぶつ切りです。
*携帯からの更新故にあまり整理はできません(笑)
*携帯にも対応しています。
*コメントでの感想なども歓迎です。
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物心ついた時から一人だった。
でもその物心ついた時っつーのはやたらに曖昧で、案外幼くもない。
モロクのスラムでゴミを漁って生を繋いでいた。
だがそんなに悲惨な人生を歩んだ訳じゃないと思う。
どれくらいそうやって生きてたかは解らないが、まるで自我を持ったように俺が記憶として残せた期間において、みすぼらしく暮らしたのはほんの数日。
廃棄場そのもののような街のどこかで一本の剣を拾い、それで弱肉強食の餓えた街をのし上がった。
さてそっちの期間もそう悲惨ではなく、長くもなかった。
勝因は俺の才能にあったのかもしれないが、わかりやすいとこでは食料だろう。
まともに食えるものは強い奴が掌握する一握り、それ以外は吐き気を催すようなもんばかり。
その中で俺は全く食い物に困らなかった。
俺にとっての食料はそのへんにごろごろ“いた”。
本当に追い詰められた時以外あまり食料としてはみないはずのその生き物を、何故か俺は当然のように補食していた。
案外、それは今でも抵抗なく口にできる。
「…切れねーなあ。」
装飾もなく、刃に閃きも少ない剣を消えかけの電灯にかざした。
血がこびりついて錆びている。
これを打ち直してもらおうと、先日プロンテラまで出てったっつーのに、思わぬ出会いにそれをすっかり忘れてた。
「悪いな、痛えだろ。」
肉を斬られるのではなく、潰されて骨を砕かれた奴らが床に転がる。
一応致命傷は避けてるが、傷の具合が綺麗じゃないから塞がりにくいだろう。
出血多量で死なれたら勿体ない。
こうゆう血気盛んなのは俺にはありがたい存在だ。
すぐに抗争を起こしてドンパチ始めて、ややこしくなるとモロクの中でもお綺麗な奴らが俺に鎮圧や“掃除”を依頼してくる。
それにもう一つの理由は、その辺に散る、儚く酸化していく赤い体液。
剣の劣化のせいでスッパリと切れずに弾け飛んだ小さな肉片。
幼い頃から俺を育んだもの。
「っう、あ…」
その辺に転がってたやつらから、比較的若くて元気そうだったやつの頭を引っつかんだ。
が、すぐに手を放したらそいつは血の海にまた顔を埋めた。
「っと、今日はこんなもんよりよっぽどいいご馳走が家で待ってんだよな。」
まだ奥に残党がごろごろいる。
さっさと片付けて帰ろう。
さて夕飯は何だろう。
お上品なあの男は何をご馳走してくれるのか。
味覚が俺と合えば幸いだ。
喚くガキみたいな声と、キチガイみたいな声。
頭の線の切れちまった奴の声はみんな甲高くて醜い。
背後以外の三方から飛んでくる刃を、ボールを避けるみたいにかわす。
しっかり訓練を受けたり、魔物相手に死線を越えてきた相手じゃなければ、大体掠りもしない。
脇にいた太った奴を特に狙い無く切り払う。
そして溢れ出る悲鳴と血と、腹の脂肪の黄色。
「グラタン?」
そのまま剣の勢いを殺さずに、反対から来た奴を切り上げる。
黒い肌したひょろっちょい、この街で負け組に即分類されるような奴。
「…あ、パイとか。よく焼けて香ばしいやつ。」
前方の青年の太刀筋はなかなか。
力はないが豹のようにしなやか、これは才能だろうか。
腕を避けて胴を縦に切り下ろす。
身体の中心線から血を吹き出す青年を足掛けて更に突き進む。
舞う鮮血が顔に冷たい。
「んー、ミネストローネ?」
血の芳香の中に、出来立ての料理の匂いが紛れる。
気が付けば剣先はこの島の頭領を捕らえていた。
これには抹殺命令がある。
驚愕に固まって、喚き命請いを始めてかけた顔に向かって剣をふり下ろす。
剣の刃は伏せて。
一瞬で腕の筋肉が凝縮、血管もその中を駆け巡り皮膚下で膨れ上がる。
右の胸筋から右の指先までが、まるで人間のものではないように…
そして風ごと潰すような轟音の中に、骨と肉を潰す音は紛れて消えた。
さっきまで醜い顔をしていた人間は首から上がハンマーで吹き飛ばしたように潰れて数メートル先に転がっていた。
残った者は皆、驚愕として言葉を失い、恐怖に震えている。
「ああ、ミートソースパスタもいいな。」
チェックメイトを取られて静まり帰っていた敗者達の陣地には、そんな素っ頓狂な呟きだけが響いて時が止まっていた。
ワインを買って帰ろう。
この夜を染めた、朽ちて黒を帯びていく鮮血のようなレッドの。
でもその物心ついた時っつーのはやたらに曖昧で、案外幼くもない。
モロクのスラムでゴミを漁って生を繋いでいた。
だがそんなに悲惨な人生を歩んだ訳じゃないと思う。
どれくらいそうやって生きてたかは解らないが、まるで自我を持ったように俺が記憶として残せた期間において、みすぼらしく暮らしたのはほんの数日。
廃棄場そのもののような街のどこかで一本の剣を拾い、それで弱肉強食の餓えた街をのし上がった。
さてそっちの期間もそう悲惨ではなく、長くもなかった。
勝因は俺の才能にあったのかもしれないが、わかりやすいとこでは食料だろう。
まともに食えるものは強い奴が掌握する一握り、それ以外は吐き気を催すようなもんばかり。
その中で俺は全く食い物に困らなかった。
俺にとっての食料はそのへんにごろごろ“いた”。
本当に追い詰められた時以外あまり食料としてはみないはずのその生き物を、何故か俺は当然のように補食していた。
案外、それは今でも抵抗なく口にできる。
「…切れねーなあ。」
装飾もなく、刃に閃きも少ない剣を消えかけの電灯にかざした。
血がこびりついて錆びている。
これを打ち直してもらおうと、先日プロンテラまで出てったっつーのに、思わぬ出会いにそれをすっかり忘れてた。
「悪いな、痛えだろ。」
肉を斬られるのではなく、潰されて骨を砕かれた奴らが床に転がる。
一応致命傷は避けてるが、傷の具合が綺麗じゃないから塞がりにくいだろう。
出血多量で死なれたら勿体ない。
こうゆう血気盛んなのは俺にはありがたい存在だ。
すぐに抗争を起こしてドンパチ始めて、ややこしくなるとモロクの中でもお綺麗な奴らが俺に鎮圧や“掃除”を依頼してくる。
それにもう一つの理由は、その辺に散る、儚く酸化していく赤い体液。
剣の劣化のせいでスッパリと切れずに弾け飛んだ小さな肉片。
幼い頃から俺を育んだもの。
「っう、あ…」
その辺に転がってたやつらから、比較的若くて元気そうだったやつの頭を引っつかんだ。
が、すぐに手を放したらそいつは血の海にまた顔を埋めた。
「っと、今日はこんなもんよりよっぽどいいご馳走が家で待ってんだよな。」
まだ奥に残党がごろごろいる。
さっさと片付けて帰ろう。
さて夕飯は何だろう。
お上品なあの男は何をご馳走してくれるのか。
味覚が俺と合えば幸いだ。
喚くガキみたいな声と、キチガイみたいな声。
頭の線の切れちまった奴の声はみんな甲高くて醜い。
背後以外の三方から飛んでくる刃を、ボールを避けるみたいにかわす。
しっかり訓練を受けたり、魔物相手に死線を越えてきた相手じゃなければ、大体掠りもしない。
脇にいた太った奴を特に狙い無く切り払う。
そして溢れ出る悲鳴と血と、腹の脂肪の黄色。
「グラタン?」
そのまま剣の勢いを殺さずに、反対から来た奴を切り上げる。
黒い肌したひょろっちょい、この街で負け組に即分類されるような奴。
「…あ、パイとか。よく焼けて香ばしいやつ。」
前方の青年の太刀筋はなかなか。
力はないが豹のようにしなやか、これは才能だろうか。
腕を避けて胴を縦に切り下ろす。
身体の中心線から血を吹き出す青年を足掛けて更に突き進む。
舞う鮮血が顔に冷たい。
「んー、ミネストローネ?」
血の芳香の中に、出来立ての料理の匂いが紛れる。
気が付けば剣先はこの島の頭領を捕らえていた。
これには抹殺命令がある。
驚愕に固まって、喚き命請いを始めてかけた顔に向かって剣をふり下ろす。
剣の刃は伏せて。
一瞬で腕の筋肉が凝縮、血管もその中を駆け巡り皮膚下で膨れ上がる。
右の胸筋から右の指先までが、まるで人間のものではないように…
そして風ごと潰すような轟音の中に、骨と肉を潰す音は紛れて消えた。
さっきまで醜い顔をしていた人間は首から上がハンマーで吹き飛ばしたように潰れて数メートル先に転がっていた。
残った者は皆、驚愕として言葉を失い、恐怖に震えている。
「ああ、ミートソースパスタもいいな。」
チェックメイトを取られて静まり帰っていた敗者達の陣地には、そんな素っ頓狂な呟きだけが響いて時が止まっていた。
ワインを買って帰ろう。
この夜を染めた、朽ちて黒を帯びていく鮮血のようなレッドの。
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