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ルナティスはしばらくギルドで借りている宿舎から姿を消していた。
そんな彼が帰ってきたのは三日目の夕方。
今にも倒れそうにふらふらして目の下にクマを作って、いつもは鮮やかなエメラルドグリーンの瞳もブロンドもくすんで、髪はもう掻きむしって固まったようにボサボサだ。
「ま、またグローリィにコキ使われまくったんか。」
「いや、教会からも給料出してくれて…かなり貰ったから頑張った。」
マナの問い掛けに答えながら、部屋に戻るのもけだるいとばかりに客間のソファにどっかり腰掛けた。
「……ん…」
今にも眠り込んでしまいそうに瞼を下ろしかけていたところに、甘い香りが花をくすぐった。
瞼をまた上げて目の前を見ると、白い丸い冷や菓子と、うっすら湯気を立ち上らせる紅茶。
「アイスティーにするか?」
いつの間にかテーブル脇にいたヒショウが顔を覗き込んできながらそう聞いてくる。
アサシン装束は脱いで黒いタイトなアンダーを着ている。
首にフィットする襟に長袖で見た目は着苦しそうだが肩や肘、首後ろなど間接は開いていて動きやすいらしい。
その服や髪の黒の中に浮かび上がる衣服のあきから見える肌や顔の白さがなんだか際立つ。
あ、やば。
自分、飢えてる。
そんな短調に自分の今の状態を自覚して、視線をさ迷わせた。
殆ど露出のない服なのに、色っぽいなんて感じて喉の奥が熱くなった。
「アイスミルクティー、がいい。」
遠慮がちに注文すると、ヒショウは返事もなく氷の入ったグラスに先ほどの紅茶を移し替え、ミルクを注ぎ込む。
もう注文や要望はないか、と無言で目で聞いてくる。
ルナティスが何も答えないので、ないと判断して彼はそこから立ち去ろうとした。
視界から彼が消えるのが寂しくて、思わず呼び止めた。
「口移しして?」
「殴るぞ」
間髪置かずに怒られた。
「じゃ、あーんして?」
「グーと平手どっちがいい。」
これも駄目か。
「じゃあ膝枕ぁー」
「首絞めが好みか?」
ことごとく嫌がられて寂しくなりながらミルクティーに手をのばす。
氷がたくさん入ってよく冷えた液体が喉を潤す。
甘いのが苦手な彼が作るものしてはいつもより格段に甘くなっていたが、疲れた身体に染み渡る。
つれないけど、やっぱりよく気遣ってくれる。
口元に笑みを浮かべて、肩の力を抜いた。
「……ん」
しばらくソファでミルクティーを飲んで…菓子も食べ終わったところで寝てしまったらしい。
不意に、足元に違和感があって、身体を強張らせた。
下を見て、更に強張った。
ヒショウがいた。ルナティスが放り出した足の付け根あたりを枕にして。
そんなに長くもないソファに横になって、ひじ掛けに腿を乗せて足をソファの外に出して。
寝心地なんか良くないだろうに、すっかりと深い眠りに落ちている。
(膝枕とは言ったけど…)
苦笑いしながら少しでも彼の寝心地がよくなるように、でも自分の足が痺れないように、彼の顔が真上から見下ろせるように、少し身体をずらした。
実に穏やかな寝息をたてている。
外はもう夜になりかけで、夕飯時だ。
食事用テーブルを見ると、今日の夕飯係だったヒショウが作った料理が既に並んでいる。
もう少ししたら、今は各部屋にいるらしい皆が降りてくるだろう。
そうしたらきっとヒショウは何事もなかったように起きだしてまたルナティスを突っぱねるに違いない。
(ま、いっか。)
やはり男としては膝枕するよりされたいが、これはこれで悪くない。
少しくせっ毛だが柔らかい黒髪を指先で撫で、片手を彼の胸辺りに置いて、もう一眠りすることにした。
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